アドラー心理学の劣等感を上手に活かして幸せになれる方法を解説します

inferior complex

劣等感は、他人や理想の自分よりも、「今の自分は劣っている」と思う気持ちのこと。劣等感を感じると、すごく嫌な気分になりますよね。でも完全に無くすこともできません。アドラー心理学では、劣等感は私たちが成長・発展するエンジンのようなものと捉えます。そこでアドラー心理学で学んだ、幸せになれる劣等感との向き合い方について解説します。

劣等感とは、今の自分がダメだと思う気持ちのこと

劣等感とは、他人や理想の自分と比べて、
今の自分のことを
「ダメだ」「できない」「至らない」
と思う気持ちのことです。

私も劣等感がたくさんあるので痛感するのですが
それって、すごく嫌な気分がしますよね。

現時点の自分の存在価値を
認められない状態だからです。

たとえば

「学歴が低い自分は、どうせダメだ」
「私は若くないから、もう誰にも愛されない」

など。

劣等感にハマって
自己否定的な思考パターンにおちいってしまうと、

他の人は素晴らしいのに
自分だけがダメなように見えてきたり、

目の前の幸せや喜びも感じにくくなります。

自分にダメの烙印を押すと
その自分を包む現実すべてが
悪いものにも見えてくるからです。

そして、

何も興味がない。
生きるのがつらい。
毎日がしんどい。

と、うつ病のリスク要因にもなりかねません。

このように
あるがままの自分を認められないことは、
自分で自分に
鋭い刃をつき続けることになるんですね。

嫌でも完全に無くせないのが劣等感

そこで劣等感を完全に無くしたいと
願っても、
なかなかそれは難しいのです。

その理由は、
私たちは一人ひとり
姿形、年齢、健康状態、社会的立場などが違って

出来ることや出来ないことという能力、
好きなことや嫌いなことという好み、
得意なことや苦手なことなどの得手不得手にも

さまざまな個体差があるからです。

つまり、
誰かと自分、
何かと自分を比べるという
比較の世界に生きる限り、
常に何もかもが優れた状態であり続けることは
不可能なんですね。

そこで、
劣等感とどう向き合うかは、
人生最大のテーマのひとつだと思います。

私自身も、
劣等感とうまく向き合えず
ホンネのボタンをかけ違えたことが、
これまですべての遠回りや失敗の
引き金だなぁと痛感します。

トホホ。

【参考: 私の遠回り人生】ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学。

アドラー心理学と劣等感

そこでさらに本気で
自分の劣等感と向き合ってみたい。

そう思って手にとったのが
アドラー心理学に関する本たちです。

幸せに生きる方法
私が学んできた幸福心理学とアドラー心理学の共通点、それらをどう活かせば毎日を幸せに過ごせるかをとてもわかりやすくまとめた本。おすすめです!

以前にこのブログの読者さんから
『アドラー心理学と考え方が似ていますね!』
と言われたことがあり、
気になっていたのです。

アドラー心理学のアルフレッド・アドラーは、
劣等感に対してすごく前向きです。

たとえば以下のアドラーの名言。

実際、私には、われわれ人間すべての文化は、
劣等感に基づいていると思える
ーアルフレッド・アドラー著 岸見一郎訳『人生の意味の心理学』(星雲社)より

というほどです。

私たちの文化は、私たちに劣等感があって、
描いた理想を目指すことで興った、というんですね。

つまり、劣等感は、
人類のあらゆる成長や進歩の原動力だと。

劣等感に対して、
すごくポジティブな視点だと思いませんか?

「私はダメ」は、文化や進歩の原動力

例えば私はかつて
雑誌ananとHanakoの編集者として
美容担当をしていたことがありました。

そこで今でもコスメの新作を
チェックするのが好きなのですが、

これも劣等感をエンジンに

商品やサービスとして陽転させたものです。

たとえば

「小さな目をもっと大きく見せたい」
とか
「毛穴を目立たないようにしたい」
とか。

自分の姿を理想の状態に比べて、
「美しく見せたい」と願う
人の心があるから

新しい製品が開発されていくのだなぁと。

つまり、
「こうなりたい」という理想と現実を比較して
マイナスと思える現実(劣等感)があるから、
ものづくりや文化が
成長・発展できる点が確かにあります。

またコスメのみならず、例えば道路などの公共物。

私は約2年ほど、スーツケースの中に
すべての所有物を詰めて、
アメリカでアドレスホッパー生活をしました。

禅センターやスピリチュアル施設で
住み込みしたり、居候させてもらったり、
AirBnBを渡り歩いたんですね。

【参考】アメリカの禅センターで体験したお金を交わさない豊かな暮らし。 交通事故、顔面マヒで入院し気づいた私のお金のブロックを解除する(後編)

そのときに痛感したのが
舗装された道路のありがたさ。

ナバホ族の居住地で暮らしたときは、
砂埃がたつガタガタの山道だったんです。

スーツケースRIMOWAの車輪が
全然動かず
岩みたいに感じました。

腕がちぎれるかと思ったな。

navajo
ガス・水道・電気のライフラインもなく、水持参。これが無くなると手を洗ったり飲んだり料理したりのすべての水が無くなります。

そんなときのことを
以下のアドラーの言葉からも思い出します。

あらゆる組織と制度、
安全を求める努力、
雨をしのぐ屋根、
身体を温める服、
通行を容易にする道を持った
この人間は、明らかに、
自分が地球上で
もっとも弱い生き物であると感じている

ーアルフレッド・アドラー著 岸見一郎訳『人生の意味の心理学』(星雲社)より

アドラーは、私たちが自分たちの世界を
ハイヤーセルフみたいに
高い視座から見られたら、
このように結論するだろうといいます。

そして

劣等感がまったくなく、
なんでも思い通りで、
未来も全部予測できるなら、

人生はとっても
つまらないものになるだろうと。

至らないところがあるから、
成長や発展の余地があるから、

私たちの人生はいきいきとして
活力あふれるものになるのだというのです。

良い劣等感と悪い劣等感をわかつもの

では劣等感をバネにして
より良いサービスや文化が生まれる場合と

劣等感によって自己評価を低くし
可能性や挑戦の機会を失ってしまう場合の

違いは、どこにあるのでしょう?

良い劣等感と悪い劣等感を
わかつものはなんでしょうか?

良い劣等感とは、
成長や発展、自己実現につながる
劣等感との向き合い方のこと。

悪い劣等感とは、
アドラー心理学では
劣等コンプレックスとも呼ばれますが、

萎縮したり、挑戦できなくなったり、
人や社会とのつながりを遮断する
劣等感との向き合い方のことです。

この2つの違いは
一体どこにあるというのでしょうか。

岸見一郎さんの世界的ベストセラー
嫌われる勇気では、

「どうせ自分なんて」とか
「どうせ頑張ったところで」と

自分の劣等感を
望ましくない現実の言い訳
として使い始めたとき、

劣等感は、劣等コンプレックスという
悪い劣等感になってしまうと解説します。

つまり、

劣等感を望まない現実の
「理由」や「原因」としたとき、
私たちはその状態にとどまって、
劣等感は劣等コンプレックスとなる。

そうではなく、
劣等感をバネに一歩踏み出して
現実を変えようとするとき

劣等感は、
大きな理想へと向かう
原動力になるといいます。

幸せのカギをにぎる共同体感覚とは?

さらに深掘りします。

振り返れば
私には劣等感を解消しようと
ものすごく頑張って、それが達成されたけれど
満たされた気持ちになれないことが
何度かありました。

そこで良い劣等感との向き合い方、
悪い劣等感との向き合い方のさらに先の、

どうやったら劣等感を活かして
幸せになれるのでしょうか?

アドラー心理学では、
共同体感覚が高いほど人は幸せだと考えます。

共同体感覚は、英語ではSocial Interest
社会への関心という意味です。

社会というのは、

自分のことも社会の一部なので
もちろん含みますが、

自分を包む家族や周りの人

その人たちが所属する社会や国

それらが内包するすべての生物や無機物

そして究極的には、
地球を包む宇宙全体のことです。

仏教でいうと、
縁起を深く実感しながら生きること。

東洋思想ではヴェーダの悟り、
梵我一如(ぼんがいちにょ)のような感覚です。

【参考】プルシャとプラクリティ

共同体感覚の
つながっている範囲が広くなって、
自分と他人との境界線が薄れていくほど

深い幸福感が増していきます。

つまり劣等感の解消も

「自分が良くなりたい」の先にある
「もっと大きなもの全体としての自分が良くなりたい」
という感覚

無私の心が原動力となるほど
共同体感覚は深く、
幸福感も大きくなり、
宇宙もその願いを応えてくれます。

つまり大きな幸せに包まれるんですね。

【参考】スピリチュアルな目覚めとは?映画『マトリックス』の覚醒と、仏教の悟りの深い関係

「私はダメ」を幸せに変える方法

つまり、アドラーは、
劣等感を解消した先に、

自分はもちろんのこと、
他の人の幸せがあると信じる心の有無が

劣等感と向き合う上での
幸せのカギになると考えます。

劣等感を理由にせず、一歩踏み出して見ること。

そして、

「恥をかきたくない」
「人より優れたい」
「あの人に勝ちたい」
と、劣等感に向き合って努力するのではなく、

「誰かの役に立ちたい」
「共同体を成長させたい」
と、自分だけでなく全体を
より良くするという目的を持って努力すると、

劣等感が解消されたときはもちろん、

それが未だ果たされない道なかばでも、

共同体とのより良い未来への一歩だと、

自分がやったことや現状を否定せずに
受け止められるのですね。

今回はアドラー心理学を参考に
劣等感を活かして幸せになる方法を
解説しました。

劣等感を感じることは嫌ですが、
より良くなりたいと
成長や発展の原動力にもなります。

そして自分と誰かの幸せのために
一歩踏み出すことができれば、

劣等感は幸せと私たちを結びつける
大きなきっかけにもなり得るのです。


アドラー心理学検定1級講座

劣等感、共同体感覚、勇気づけなど、
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また、以下の記事では「ハイヤーセルフ」や「周波数」からみた
幸せへのコツを解説しているので、
こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。

参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? あなたの問題や不安がみるみる解決する自分を超える答えの受け取り方

参考:自分の周波数を知る方法。周波数を高めて幸せになるために重要なポイント

最後までお読み下さり、大変ありがとうございました。
お役に立てれば嬉しいです☺️