孤独のストレスは、タバコ15本分に相当!簡単にできる心と体の癒し方

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話し相手がいない、一人ぼっちで寂しい。そんな孤独が心や体に及ぼす影響は、1日15本の喫煙に相当するとか。孤独のストレス対策として、アイスランド林野局が提案したのは、木を抱きしめること。数多くの研究結果も、森林浴が心と体の健康に役立つことを明かしています。

つながりを求めるのは、私たちの本能

私たちが孤独にストレスを感じるのは、自然なことです。つながりを求めるのは、私たちの本能だからです。

たとえば、有名な心理学者ハーロウの実験。

赤ちゃん猿が、ミルクを与えてくれる針金のサルのおもちゃと、柔らかい毛布でできたサルのおもちゃのどちらになつくだろうか、という実験です。

結果は、赤ちゃん猿は、生きるために必要な食べ物のそばではなく、また1匹で好きな場所で過ごすのでもなく、温もりを与えてくれる毛布のおもちゃにしがみついて、より長い時間を過ごしました(1)。

私たちには、優しい気持ちにさせてくれる、何かが必要なのです。

孤独がもたらす健康被害

今日の新聞にこんなことが書いてあってびっくりしたんです。
孤独がもたらす健康被害 (日経新聞5月22日付朝刊より)

記事によると、アメリカ政権で公衆衛生政策を統括するビベック・マーシー医務総監
によると、孤独は1日あたり15本の喫煙に相当するとか。

これは148件の研究結果をメタ分析して証明されたデータです。

つまり孤独は、運動不足や肥満より高い、喫煙やお酒の飲み過ぎに相当する、病気へのリスク要因なんですね。

木を抱きしめて、心と体を癒す

ところでコロナ禍では、ソーシャル・ディスタンスといって、物理的な距離を持つことが求められましたよね。そこで、心や体のバランスを崩す人も少なくありませんでした。

その心的ストレス策として、アイスランド林野局(The Icelandic Forestry Service)が提案したのが、人の代わりに木を抱きしめることです(2)。

東アイスランドにある美しい国立公園を保護するフォール・フォルフィンソンさん。

彼は、5分も木を抱きしめられたら十分だと言います。以下はフォールさんの言葉です。

抱きしめている間は、目をつぶってください。私は、幹に頬を寄せ、木の温かさやエネルギーを感じるようにしています。とてもリラックスして、1日をスタートできますよ。だまされたと思って試してみてください。本当にそう感じられますから(フォールさん)。

離婚後、公園の木々に癒された

振り返れば、私も離婚したばかりの頃、木々でいっぱいの大きな公園の近くに引っ越しました。

そして毎朝、公園のトラックを走った後に、出勤していたんです。

吸い寄せられるように毎日過ごした公園には、大きな木の並木道がありました。

その木々がキラキラと輝いて、枝葉は、大きな手のようで。

木を抱きしめることはありませんでしたが、走っていると、優しく大きな緑の手が伸ばして私をおおい包み、歓迎してくれているようでした。

この街に引っ越してよかったな。

そう思って走っていると、不思議と涙が出たんです。

また、他にも走っている人、体操をしているお年寄り、犬やベビーカーで散歩している人など。

同じ公園という空間にたまたま集って、安らぎを感じ、毎日を生きる人がいる。

そう実感すると、目に見えないつながりをハートで感じるというか。

一人でいても孤立していないと、孤独感が薄れていったんですね。

だから、当時はもちろん今でも、緑には、無条件の愛というか、大きなヒーリングパワーがあるなぁと身にしみて感じています。

参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学

科学も証明する、森林のヒーリング効果

また、森林浴が心と体の健康に良いことは、科学も証明しています。

例えば48名の日本人男性を治験者とした実験。

彼らは二日間、森林もしくは街で、1日12〜15分の散歩をしました。

すると、自然のなかで散歩した人たちのほうが心拍数が低く、心拍変動数は高い(心拍変動数の高さはリラックス度が高く、ストレス度の低いことを表します)という結果が出ました。

また、問診でも、森林を歩いた人は、より気分が良く、不安が少ないと答えました(3)。

自然の動画を見るだけでもOK

しかし、庭や公園がなかったりと、手軽に緑と触れられない場合もあるでしょう。

そんな場合は、自然の動画を見ることでも心と体のストレス効果があるという研究結果もあります。

研究に参加した人たちは、幸せな気分になれる1分間の動画か、壮大な自然の1分間の動画をみました。

壮大な自然の動画を観て美しさを感じ、畏怖の念を抱いた人は、そうでない人に比べて、炎症性サイトカインの値が低かったそうです。

炎症性サイトカインにはウイルスから体を守る働きもありますが、長く過剰に産出され続けると、さまざまな問題をもたらします。心臓疾患、うつ病、自己免疫疾患にかかるリスクが高まるんですね。

その値が低くなったということは(4)、自然に触れたり、そのエネルギーを感じる感受性を持つことが、私たちの心や体を、ストレスリスクから守ってくれるのです。

エネルギーの高め方の参考:潜在意識を簡単に書き換える!体の感覚を使ったハイヤーセルフとの繋がり方

私たちは1人じゃない。緑に触れよう

では、なぜ緑とつながることで孤独感が薄れ、心と体のバランスが整うのでしょうか。

それは、日の光に向かってすくすくと伸び、雨や風の日も変わらずそこで静かに佇む木々。明日は散り、あるいは抜き取られても、踏まれても、精一杯その美しさを表す草花の姿。

そんな緑の姿に、私たちは、自分の中にある光のかけらを見るからだと思います。

ポジティブな投影を受けるんですね。

大前提として私たちは1人ではない。

たとえ物理的にひとりでも、個で存在しているように思えたとしても、私たちは大きな関係性のなかで光として存在し、孤立して生じることは決してあり得ない。

緑がやってきた光と同じ場所からやってきているという、自分の本性を思い出すからだと思います。

新緑が美しい季節です。

気分転換に公園を散歩したり、お部屋に花を飾ったり。グリーンの力に癒されてみませんか?

参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法

マキワリラジオで聴くこともできます。

参考文献:

(
1). Harlow, H.F. (1959). Love in infant monkeys. Scientific American, 200, 68-86.
  (3).Juyong Lee et.al. (2014). Influence of Forest Therapy on Cardiovascular Relaxation in Young Adults. Hindawi Publishing Corporation Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine.
(4).Melanie Rudd, Kathleen D. Vohs, and Jennifer Aaker. (2011) ,”Awe Expands People’S Perception of Time, Alters Decision Making, and Enhances Well-Being”, in NA – Advances in Consumer Research Volume 39, eds. Rohini Ahluwalia, Tanya L. Chartrand, and Rebecca K. Ratner, Duluth, MN : Association for Consumer Research, Pages: 262-263.