思考の9割は昨日の繰り返し。無意識の選択を超えて、望みを実現する方法。

beyond mind

今の現実が苦しいのは、今の反応と世界観で行動するためだと言われます。しかしそれらは私たちが今自覚して決定しているのではなく、9割以上が無意識の繰り返しだとか。そこで、無意識の選択を超えて人生を取り戻し、望みを実現する方法について具体的にお話しします。

思考の9割は昨日の繰り返し。無意識の選択を超えて、望みを実現する方法。

リベットの科学実験。無意識の心の牢屋とは?

アメリカの有名な内科医・ディーパック・チョプラ博士は、私たちの思考(1日に6〜9万回程度)のうち9割は、前日の繰り返しだと言います。

つまり1秒につき1回から2回弱思考するという計算になるので、ほぼ無自覚に現在や未来の運命を定めてしまっていることになります。

さらに科学者リベットの実験では、心が体を動かそうと指令を出すタイミングよりも0.35秒早く、無意識下では脳が体を動かすための準備、運動準備電位が出ているとか。具体的には、「ボタンをとめよう」と思うよりも前に、無意識下の脳では指を動かす指令が出ているということです(『脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説』より)。

無意識の心の牢屋があるのですね。

これが、頭では現実を変えたい、苦しみや疲労を助長するような人生をやめたい、夢に向かいたい、と思っても、実際には変えられないという理由です。

私たちは自分が「そうしよう」と自覚する前から、その行動をとる準備がスタートをしているから。

この科学結果では、すべてのことは自分で判断して決めて行動しているはずだ、という確信が覆されます。

ユングが考える集合的無意識とは?

さらに心理学者のユングは、私たち個々の無意識層のより深い層には、集合的無意識という領域があるとしました。

これは超個人的なもので、時間や場所、文化や人生という設定を超えて、意識を持つ存在(たとえば人間)が共有するイメージや表現を生み出す場所です。

たとえば日本の縄文時代の女性をかたどった土偶と古代シュメール文化の女神イナンナの土偶は驚くほど似ています。どちらも頭にヘルメットのようなものを被り、体の形もそっくり。

今のようにインターネットや交通網も発達していない時代で、縄文人と古代シュメール人が物理的に交流したというのは考えがたいことです。そこで無意識に共有している普遍的イメージ(集合的無意識)から生まれたのではないかと言われています。

また、日本神話では天照大神を太陽の神様としますが、エジプト神話でもラーと崇めています。これは農作物を育み、私たちを照らす太陽に“神”という元型を見ているということです。

仏教の縁起。無意識層でつながる私たち。

たとえば、今ロシアによるウクライナの侵攻が連日報道されています。

私たちは自覚するかどうかにかかわらず、

ウクライナで暮らす人たちの不安、痛み、苦しみ、

プーチン大統領の「資源と権力が最重要」とする姿勢なども、心の深い部分では一緒に感じ、経験し、そのデータを蓄積しています。

仏教でいう縁起の教えは、この集合的無意識と重なる部分もあり、すべては関係性のなかで存在し、“わたし”という人間も“わたし以外”無くしては成立しないということです。

ウクライナと似た運命を抱えるチェチェンで起きていること:

AIで顔や声を合成する技術「ディープフェイク」をドキュメンタリーに。 映画『チェチェンへようこそ-ゲイの粛清-』に見る、 デジタル技術やアバター(分身)で社会を変える方法。

これを、先日亡くなったベトナム人の禅の大家で平和活動家のティク・ナット・ハン禅師は、interbeing(相互存在)という美しい造語にしています。彼は、私にマインドフルネスを教えてくださった方です。

参考:マインドフルネスで怒りをおさめ、心と体の栄養を深く味わう生き方とは?

自分を苦しめる無意識の制限を超えるために必要なこと。

では9割以上がコントロール下にない思考や選択を超えるにはどうしたらよいのでしょうか?

ティク・ナット・ハン禅師など、多くの賢人たちが口をそろえるのは「気づく」ことです。

具体的には「現在の瞬間に生きる」ことです。ティク・ナット・ハンの言葉で言えば、それはマインドフルネスであり、エック・ハルト・トールの言葉では、「The power of now(今の力)」です。

それは完成された状態というよりも、永平寺を建立した道元の考えでは、「瞬間瞬間に目覚める」道を歩むことです。

たとえば自分が取り入れている情報や関係性に気づき、苦しみや痛みを生むものか喜びや学びを深めるものかどうかを内観して取捨選択すること。

そして「初心(beginner’s mind)」ともいわれますが、子どものようにあらゆる瞬間を十分に生き生きと体験することなども含まれます。

自分を超える大意識とつながるための鍵は、体の感覚。

私がアメリカ帰国後に暮らしていた家では、毎月山伏の星野先達が訪問してくださっていました。

彼がおっしゃるには、大雨のなか修行で川を渡ったり、滝に打たれていると、意識と無意識の境目が無くなるのだそうです。

無心になって、命のエネルギーが充満するのだとか。

体の感覚に充分意識が向かうことで、「私」を定める脳の指令から一歩離れることが出来るのでしょう。

私自身、手痛い経験をしたことで、体の感覚に意識を向かわせる時間を持つ大切さを痛感しました。具体的には、2020年の12月半ばに重度の顔面マヒになって緊急入院。1年以上後遺症に苦しんだことです。

顔が動かないということは、飲み物や食べ物もうまく食べられないし、笑顔も作れない。となると人に会えなくなりました。そこでさらに心が内側に向かい、自分のいろいろと向き合うことになりました。

さらに体がわかりやすくストップをかけてくれるようになったので、物事の選択がシンプルになりました。

無理をすると顔がこわばって動かなくなったり、けいれんしたので「頭でっかちになりすぎている」「それはホンネじゃない」と、その瞬間の真実から目をそらしている自分に体が気づかせてくれたんです。

マインドフルネスなどをやっていたわりに、思考優位の実践だった部分も多かったとわかりました。

その結果体の声を以前に比べて傾聴するようになり、吐き気がおさまり、顔も動くようになりました。

振り返れば、嫌な経験ではあったのですが、魂が求めること、必然だったのだと思います。

そこで生まれた傾聴ジャーナリング:2022年、ホンネに耳をすませて最高の答えとつながりたいあなたへ。

エサレンで学んだ「フルボディ・プレゼンス」。

私は、アメリカで禅センターの他、エサレン研究所というスピリチュアルセンターで住み込み学生として草むしりやベッド・メイキングをしながら学んでいたことがあります。

そこで「フルボディ・プレゼンス」という、マインドフルネスとエネルギーヒーリングを組み合わせた大意識とのつながり方を教わりました。

これもジャーナリングなどに加え、顔面麻痺になってからふたたびおさらいし、実践していました。

そこでここでシェアしたいと思います。ご興味あれば、ぜひやってみてください。

「フルボディ・プレゼンス」とは?

「フルボディ・プレゼンス」を開発したのは、スザンヌ・スカーロック・デュラーナさんです。

彼女はもともとクラニオセイクラル・セラピー(頭蓋仙骨療法)の専門家で、瞑想、ヨガ、アメリカ先住民の智慧を組み合わせて「ヒーリング・フロム・ザ・コア(核心部からの癒し)」というメソッドを開発しました。

その核となるのが身体感覚をフル稼働させて、“今ここ”に完全に存在する『フルボディ・プレゼンス(Full Body Presence)』という手法。不健全な関係や幸せを阻む選択から身を守り、もともとの良い流れに乗って可能性を広げるというセルフ・ヒーリング法です。

『フルボディ・プレゼンス』の5ステップ

日本未上陸のフルボディ・プレゼンスは、以下の5つの原理で行います()。

1.命を育む力を信頼する。

太陽の光が降り注ぎ、呼吸するための空気が……というように、この世界は光や熱など命を育むエネルギーに満ちあふれています。

全世界が敵のように見え、もうどうにもならない状況だと感じられても、私たちが自覚するしないに関わらず、この無限の生命力はいつも存在しています。その存在を信頼すると決め、負のサイクルを断ち切る一歩を踏み出しましょう。

2.生命エネルギーを体で感じる。

深呼吸したり、自然の中で過ごしたり、祈りや瞑想、思い切り歌を歌ったり、無心で楽器を演奏していると、感じるものはありませんか?

力強い安心感、エネルギッシュで流れに乗っている、穏やか、至福感を抱いたときの身体の反応とはどのようなものでしょう。

心地よいゾクゾク感、温かさ、胸が開くような感じ、下腹部が据わる感覚でしょうか。

これが1の生命エネルギーであり、それと繋がっているときに体が抱く感覚です。

意識してそこに向かうための体内センサーを始動させましょう。

3.全身に生命エネルギーを充満させる。

両足をなるべく平行に、足の裏をしっかりと地面につけます。目は閉じるか、半眼にして深呼吸してください。椅子に座っても、立っていても寝そべっていてもかまいません。

何度かゆったりとした呼吸を繰り返したら、生命力を大地から吸い上げるようにイメージして、足の裏の感覚に注意を向けます。

足裏が微かにチリチリしたり、くすぐったく感じるかもしれません。

足裏からエネルギーを吸い上げて、脚、骨盤、腹、胸、喉、眉間、頭上と流れていく生命パワーを感じて、それを統合させます。

心地よく感じるのは体のどの部分ですか?

逆に何も感じられなかったり、流れがブロックされているような感覚がする場所はどこですか。それは冷たさ、石のような重み、圧迫感、痛みや麻痺したような感覚でしょうか?

例えば生まれるときに、成長、事故、手術など、または挫折したり、自信を喪失するなど、過去に心や体にトラウマが残るような影響の強い体験をすると、防衛反応の一種として身体感覚が鈍ります。

すると生命力とつながることも、信頼したり愛を受け取ったり与えたりすることも困難になり、健康を維持する力を低下したり、恐れ、不安、絶望、圧倒感、挫折感、悲しみ、無価値観、自己否定などを抱くようになります。

痛みや重み、気だるさなど不快な感覚がしても、ありのままの状態をただ観察してください。隠したり、克服しようとせず、素直に感じ切ります。もがきは、過去(9割のパターン)の断片です。感じ切ることで、やがて昇華されていきます。

ジャーナリングも役立つ:

自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法。

4.目の前の世界を捉え直す。

私たちが現実を理解するとき、「熱い・冷たい」といった体の感覚、「嬉しい・悲しい」という感情、他には「こうしたい」という期待や「そうあるべき」という信念(belief)などさまざまなフィルターを通して認識します。

参考:信念とは?

このような判断材料のなかには、傷ついた過去の記憶の再生という、幸せな選択を阻むものもあります。無意識に不幸なパターンを繰り返してしまうのです。そこで一度フラットな意識で目の前の現実を捉え直すクセをつけましょう。

例えば「もしも”私は十分ではない“”私は醜い”という思いが真実ではなかったら? ”私は今のままで十分”“この世界は安全”だと捉えたら、どんな感じだろう?」と視点を一新させます。そして全く新しい視点で現実を見た場合には、体がどう反応するか感じてみてください。

現実のパターンは無数にあります。その可能性にオープンになりましょう

参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法

5. 心地よいものを選ぶ。

生命力の源とは、私たちの信頼感や自信、強さを引き出してくれるものです。それは人それぞれ違うので、自分で経験して見つけていくもの。探すヒントは、ホッとできたり、元気を回復させてくれる、といった心と体の感覚です。

例えばそれは自然の中で過ごすこと、人生のパートナーや友人との語らい、心の深いところからやってくる信念、カプチーノとスコーン、ゆったりとバスタブに浸かる時間、お気に入りのリネンワンピース、波の音、洗い立てのブランケット、深呼吸などかもしれません。

パワーの源探しを楽しんだら、目の前の選択肢の中で、できる限りそれを選ぶことを自分に許してください。するとあなたが自分らしく幸せでいるために必要な生命パワーとつながる魂ナビをいつも始動させた状態を維持できます。

参考:願う現実が引き寄せられないなら。微細な望みをキャッチし、叶える簡単なコツ

まとめ

私たちの決定は、9割以上が無意識の繰り返しであること。そして集合的無意識という個人を超えた意識の層があることについてお話ししました。

無自覚の選択を超えて人生を取り戻し、望みを実現するためには「気づくこと」、その鍵を握るのは「体の感覚(実感)」です。

そこで体の感覚と意識の潜在力を使って、思考や行動パターンを変えて、ベストな決断を下す方法『フルボディ・プレゼンス』についてお伝えしました。

「エネルギーを与えてくれるものに気づいて選ぶ」をルールにすることで、心、体、魂が一致した人生の羅針盤に沿ってきっと生きられるようになります。

そしてそれは完成された状態ではなく、道(プロセス)。

うまくいかない時間もうまくいく時間も同じように味わって、一緒に歩み続けましょう。