全米の幸福心理学のプロによる『良い聞き手になるための6箇条』とは?

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うまく話せない自分は会話下手だと思っていませんか? でもよく考えれば、名司会者と呼ばれる黒柳徹子さんもタモリさんも大変な聞き上手。つまり上手に質問し、相槌が打てる良い聞き手になることでも深い対話は叶うんです。私もアシスタントしていた心理学者や脳科学者、社会学者など全米の幸福心理学のプロが集う研究機関、グレーター・グッド・サイエンス・センター。そこが制作した『良い聞き手になるための6箇条』についてご紹介します。

ジェイン・パーク氏は、グレーター・グッド・サイエンス・センター(Greater Good Science Center)のエグゼクティブ・プロデューサーです。このセンターは、カリフォルニア大学バークレー校の校外研究機関。心理学者や脳科学者、社会学者たちの幸福度を上げるための研究をオンライン講座にしたり、グレーター・グッド(Greater Good)というオンライン・マガジンを運営したりしています。

わたしもカリフォルニア大学バークレー校で学び、ここでエディトリアルアシスタントとしてマインドフルネスを中心に論文を読み、興味深いものを担当編集者にまとめて伝えていました。

今回ご紹介したいのは、ジェイン・パーク氏が制作するビデオシリーズ「幸せの科学(The Science of Happiness)」の『良い聞き手になるための6箇条(Six Ways to Be a Better Listener)』です。

これはわたしが後にニューメキシコ州にあるウパヤ禅センターで住み込み修行していたときに体験したカウンシルという対話法、そして心理学者カール・ロジャーズのカウンセリングの手法にも通じるところがあります。

カウンシルについて書いた記事:「もうムリ…」に効く、相手も自分も癒される話の聞き方。

そこで6箇条を挙げながら、補足説明していきたいと思います。




『良い聞き手になるための6箇条』

最先端の研究結果にサポートされたグレーター・グッド・サイエンス版の『良い聞き手になるための6箇条』とは、以下です。

1.アドバイスを避ける。

「あなたはこうするべきだと思う」「なぜああしてみないの?」など、アドバイスは避けます。その理由は、その人自身が自分で答えを導き出せる可能性を遮断してしまうからです。

“良い聞き手になる”というのは、相手を支配して思い通りにさせようとか、「教えてやろう」とか、相手を心理的に依存させるものとは違います。

2.決めつけ(判断)を避ける。

あなたのゴールは、他の人の視点を理解することです。たとえ、それに反対でも。傾聴し、その話に深く寄り添いながら、その人自身がその人としての最善の結論を見出すのを見守ります。

3.パラフレーズする。

英語のパラフレーズとは、ある表現の意味をわかりやすく別の言葉で言い換えることです。例えば、「あなたが言っていることって、こういうこと?」「こう私は理解したんだけど、間違っていないかな?」と繰り返し質問します。これはオープンリードと言って、開かれた形で話し手の深い部分にあるホンネや言いたいことを引き出します。話し手が考え、感じる空間を贈るのです。

4.質問する。

パラフレーズと同じ目的で、相手が話していることを明確にするために質問します。
「あなたが『いっぱいいっぱいだ』というのは、『やることがたくさんあって一人では手に負えない』という意味ですか?」「モヤモヤというところがよくわからなかったんですが、どういうことでしょうか?」という例です。

5.共感を表す。

相手の気持ちを疑うのではなく、肯定します。「どれだけ苛立ったか、わかります」というように、そこに流れている相手の気持ちをあたかも自分のことのようにわかろうとする姿勢です。

ここで注意しておきたいのは、ヒーラーやカウンセラーや、心が繊細で圧倒されてしまうというような人は、相手に共感しようとしすぎて、自分の実感を見失ってしまわないこと。

共感による傾聴には、聞き手である自分の心を開く必要があり、相手からの影響を受けるというリスクがあります。そこで、強い安定性が必要になります。合わせて自分の心の実感にも常に目を向けます。共感しながら、冷静さや客観性も保つということです。



6.ジェスチャーでは聞く姿勢を示す。

途中でケータイを見たりせず、積極的なボディランゲージをして話し手に集中します。自分の表情にも気遣います。

傾聴的態度を貫いた心理学者、カール・ロジャーズ。

良い聞き手になること、つまり傾聴することとは、自分の言い分をわかってもらうことにあるのではありません。傾聴的態度を貫いたカール・ロジャーズは、

傾聴のほんとうの意味は、わかってもらうことにあるのでも、聴いてもらうことにあるのでもない。傾聴してもらうことでクライアント(話し手)が「自分自身の内側への傾聴を学習する」ことにある。

自分自身のこころの声を聴いて自分で自己決定、自己解決していくことができる。自立した人間へと成長していくのを援助することに傾聴のほんとうの意味はある。『心のメッセ-ジを聴く』より

と語っています。

今回は、私もアシスタントしていた心理学者や脳科学者、社会学者など全米の幸福心理学のプロが集う研究機関、グレーター・グッド・サイエンス・センター。そこが制作した『良い聞き手になるための6箇条』についてご紹介しました。

それは禅センターで触れたカウンシルという対話法、心理学者カール・ロジャーズの傾聴的態度にも通じています。話すのが難しいというなら、上手に聞ける良いリスナーを目指して、深い信頼関係を築いてみませんか。

参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法

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