エネルギーの時代へ。絶体絶命の成功者を守ってきた直感力を磨く3つの法則

新型ウイルスの影響で、一週間前、いや翌日のことすらわからない。先が見えない世界で、心は揺れて何を選択したらいいのかと悩みますよね。そんな見通しの悪い今は膿出し、そして生み出しのタイミングだと思います。それは不要なものがそぎ落とされて、本当に必要なものが見えてくるとき。そしてますますエネルギーの時代に突入していくのだと感じています。

背景にある想いが評価される時代。

エネルギーというとオカルトっぽくて抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれません。言い換えると、例えばその商品やサービスを選ぶときに、届ける人の思いや企業姿勢がますます消費者の価値判断になっていくということ。今は混沌としていますが、つまり「◯◯だから良い」と盲目的にブランドのイメージや大きな力、有名会社や表面的な見た目のみに信頼を寄せる時代が思う以上に早く終焉を迎える。そして、その商品自体が放つエネルギー、それが自分の手に届くまでに至った会社のポリシーや関わった人たちの想いが、消費者の評価にますますつながっていくのだと思います。それは予測不可能な事態が次々と起こる世の中に生きるうちに、人は「どっちがいい?」と自分で判断するための野生や感受性を磨かざるを得なくなり、それに伴って物事の本質や「気」を察知する力も高まっていくように感じるからです。だから私は興味深く、今この事態に対して行う経営者たちの判断を見つめています。ホテルを隔離のために提供したり、何にどういう形で資金提供したり、商品返品や送料などの規定をどう変えたのかなど。

 

それはメディアが発する情報に対しても同じ。組織としてどういう報道をしているのかなと見つめています。見せかけの解決法やドーパミン的な刺激物質を出すような内容のものは短期的には気持ちいいものですが、いずれ淘汰されていくでしょう。だから今は自由に行動出来なかったり、仕事を失ったりという不安や絶望感を感じながらも、そんな自分の深いところ、怖いところに踏みとどまってそれをぐっと見届けることが大切だと思います。向かうべくエネルギーへと自分を整えるために、まず最悪の状況を直視するのです。それは私自身にも言い聞かせていることです。

とはいっても「誰にも会わずに、引きこもりなさい」と言われると、自分の内側に向き合うよりも、どうしても向かう先は外側のインターネットやテレビの情報になってしまいます。私もFacebookにかじりついて、コロナ報道や他の人のありとあらゆる意見に目を光らせていました。でもその結果、エネルギーを整えるどころか恐れの気持ちばかり高まってしまいました。そのうえ怖いという気持ちを感じる前に、また別の刺激的な情報に目を向けて振り回されるままに一喜一憂する。

 

「これはなんだか気分が悪いし、変だな」と思って、3週間前からFacebookを休止。政府の決定は確認しつつも、あとは信頼のおける有識者のブログや大笑い出来たり元気になるYouTUBEだけを時間を決めてチェック。そして大切な友だちや家族と話したり、波乱万丈をかけぬけてきた人たちの自伝や伝記を読むことに切り替えました。

 

このエネルギーの時代に向かうための前段階には、野生の勘ともいえる直感を磨いて一旦無作為に流れてくる情報をそぎ落とし、自分に必要な情報を取捨選択していくことが本当に大切だと感じます。私たちには今本当にいろんな情報や意見が流れ込んでくるので、選ぶ目を持たないと本当に振り回されてしまいます。そこで直感とはなんなのか。どうやって磨いていけるのかを知りたくなり、波乱万丈の人生を駆け抜けてきた成功者たちの伝記を読みながら分析してみました。

 

成功者たちは直感の力で一歩先を見抜いてきた。

直感はとてもパワフルなものだよ。思うに、知性よりもずっと。私の仕事に大きなインパクトを与えてくれた」と語ったのは、アップル創業者のスティーブ・ジョブズです(1)。


実はプログラミングもろくにできなかったジョブズでしたが、石油会社大手のエリクソン・モービルを抜いてアップルの時価総額を一位にして世界をアッと言わせました。そんな彼は、直感の力で一歩先の未来を見抜く天才だともてはやされました。

今では誰もが知る大企業のアップルですが、巨大コンピューターが一部の機械マニアだけに愛されていたころ、「ノートみたいに薄くて軽くて、家電みたいに洗練されたデザインで。家計簿をつけたり絵を描いたり、誰でも使えるコンピューターを販売して世界を変える」とひらめいたジョブズが、天才エンジニアの親友を口説き落として、物語は父親のガレージから始まりました()。

ジョブズ自身、自分で作った会社を追放されるなど、さまざまな局面を迎えるのがビジネス世界です。それを生き抜いた彼の直感スタイルは、大学を中退してインドを放浪したことがきっかけ。インドの田舎で暮らす人たちが理性的な考えよりも直感に従う姿に衝撃を受けて、大きな決断の際にも直感の力を信頼するようになりました(1)。

また世界的成功者として有名な、お騒がせパリスのおじいちゃん、ヒルトンホテルチェーンの創業者のコンラッド・ヒルトンも直感力で成功した人物と知られています。

その逸話のひとつから、競売中のシカゴのホテルを16万5,000ドルで入札したコンラッド。彼の直感が「金額が低すぎる」と言って、ベッドの中で胸騒ぎがしました。そこで思い切って直感に従って、翌朝新たに18万ドルとして入札します。その結果コンラッドは入札に勝つことができ、世界でもっとも大きなホテルのひとつを所有することになりました。蓋を開けてみれば、その入札額はなんと次点の入札者よりたった200ドル高いだけのギリギリでした。この取引で、彼は最終的に200万ドル以上の純利益をあげたそうです(The Hiltons: The True Story of an American Dynasty より)。

直感とは、あれこれ考えや分析を挟まずに答えを出す直接のカンのことです。意識と無意識のギャップを埋める架け橋で、英語ではガット・フィーリング(gut feeling)と言われますが、日本語で言う肚の感覚、つまり理由なく腹の底からわき起こる「ソレ!」みたいな感覚のことです。そこには「◯◯だから」という周りを納得させられるような理由はありません。

直感力は誰にでも備わるもので、なにもジョブズやヒルトンに特別与えられたものではありません。とはいえ直感だけであれもこれも決めるのは不安です。でも過去のデータと照らし合わせてもうまくいく保証が見えづらい今こそ直感力を信頼してみませんか。成功者たちの行動を分析すると、本当の肚の感覚に従うためには、3つのステップがありました。

正しい直感力とつながる3つのステップ。

1. まずはやれるだけやってみる 

ホテル王のコンラッド・ヒルトンは、「直感というのは、祈りの答えのようなもの。できる限り考え、確かめ、計画もやって、もう祈るしか他はない、となったときに与えられるものさ」と言っています。また、ワクチンの開発など細菌学の基礎を築いたパスツールも「幸運は用意された心のみに宿る」という言葉を残しています。成功者たちの行動から、直感の女神は「もう四方八方やり尽くした」「これ以上は無理だ」とやるだけやって、コントロールを手放したときに微笑んでくれるようです。




私は会社を辞めてから「自分がこれだ」と思うことを書いて伝えると決めています。今はそれに加えて、恩人たちの生き様に触れて、心の底からそう思うことだけを言う、というのもあります。当然完璧にそう出来ているとは言えません。でもそうしたいなと意図しています。とはいえ、それではダメだとピンチのときが何度かありました。でもそんなときに黙々と目の前のことをやり続けていたら、信じられないような恩人に出会ったり、奇跡ともいえないレベルの研究室に入れたり、翻訳の仕事に恵まれたりしました。今、またピンチが訪れています。でも試練は対処する準備が自分に出来たときにやってくるのだと信じています。だから自分の信じることを書いてシェアし続けようと、このホームページを積極的に更新することに決めました。

直感力を磨く具体的な方法その1

例えば英語が話したかったら毎日ドラマのセリフを1つ覚えてみるなど、今の自分ができる小さなゴールを着実にこなしましょう。目標が大きいほど、ゴールに向かうプロセスが思い通りに運ばない場合がありますが、そのときどきで自分が最善だと考える行動をとりましょう。また自分とは違って、もうそのゴールを達成している人の話を聞いたり、そんな人が書いた本やブログを読むことも正しい直感とつながるために有効です。

 

2. いったん思考を止める 

ステップ1でとった自分らしい思考に基づいた行動を、ここではいったん一休みさせます。ジョブズの永遠のライバルとされるビル・ゲイツがのちに明かしたところによると、ジョブズはこみいった大事な話をするときには必ず歩きながら話したそうです(2)。

ちなみに脳には情報を処理するための容量があります。歩くことで全身を使いながら肉体感覚を感じると、思考のためのキャパシティが減って思い込みによるハイジャックが避けられます。またジョブズは禅仏教に傾倒し、瞑想を日課としていました。瞑想には心の中のダメ出しを鎮める効果もあり、坐禅によって知識や実験で割り出されるデータよりも、肚の感覚とつながるための実体験を重んじるトレーニングを積んでいたのではと思います。

直感力を磨く具体的な方法その2

瞑想がオススメですが、苦手な場合は、散歩、良い花の香りをかぐ、ランニング、ゆったりとお風呂につかるなど、思考よりも感覚に意識を向けられることをするのも効果的です。携帯を見る1日の時間を決めたり、何か調べるために必要なときだけに利用を絞るのも大切です。

参考記事:いい気分だといい情報にアクセスできる

 

3.「◯◯なはず」を疑ってみる

Think Different(違った考えをしよう)とは、アップルの有名な広告スローガン。頭にいっぱいの考えをウォーキングや瞑想で引き算したら、次に行いたいのは「これが正しい」「それは当たり前」という個人的な判断を一度疑ってみることです。

ジョブズは39歳の頃、アメリカの公共放送PBSのインタビューで「あなたの生活のすべては、あなたより頭の悪い人が作ったものなんだ」と断言し、(だから考え方をちょっと変えてみることで)「周りの状況は(自分で)変えられるし、自分が周りに影響を与えることも可能になる。自分のものを自分で作ることも、他の人にそれを使ってもらうことも出来る。それを一度学んだら、もう同じことをしなくなりますよ」と語っています。

ジョブズが警鐘を鳴らす、自分以外の複数の人の意見に影響を受けて、それに合わせてしまう心理を「同調」と言います。その判断は、直感の腹の底からやってきたものなのか、みんなが言うからなのか。これを実験したのが心理学者のソロモン・アッシュです(心理学 新版 )。さて以下の線で、左と同じ長さなのはA、B、Cどれだと思いますか?

明らかにCですよね。でも実験で他の全員(サクラ)が一貫して「A」と間違った答えを言うと、治験者たちは「Cと言っていいのか!?」と自信を無くし、「A」と答えてしまう人が約4割にも達したそうです。人間は無意識のうちに大多数の考えに染まる生き物です。それは一種のサバイバルスキルで、空気を読むことだって社会生活では大切だからです。でもさまざまな情報があふれる今、自分的にピンとこないものは鵜呑みにしない。周りと一緒になって不安を助長しない。そういうトレーニングも正しい直感力を磨き、これからの時代を生き抜くために大切です。

直感力を磨く具体的な方法その3

日記をつけてみましょう。起こった出来事に対して、自分がどう考えるのかというパターンが見えてくるからです。話題がホットなときは、「こうなはず」と譲れませんが、数日、1か月、1年ほど経って日記を見返してみると「別にそんなふうにしなくてもよかったな」と違った視点で見返すこともできます。日記をつけるときは、自分を批評したり、あえて第三者になろうと文章を検閲したりせず、コントロールを失って自由に思いを綴ることが大切です。この手法は心理療法でも用いられ、ジャーナリングと言われています。「自由に書いて思いを発散し、後から見返す」を繰り返すうちに、違ったものの見方に自然とオープンになっていきます。

(ジャーナリングのやり方)

怒り、不安は15分書いて癒す。効果的なジャーナリングのポイントは7つ。

不安、怒りを書いて陽転させる方法

成功するまでやり続けたら、失敗にはならない。

不確かさのなかでもやるだけやって、いったん一呼吸つき、ちょっと違ったオプションにもオープンになってみる。過去に直感に従ったために間違えた選択をしたと思っていても(私は直感で会社を辞めてアメリカに行ったとき、何度も後悔した張本人です)、時間の経過とともにそれが最高の経験だったとわかることがよくあります。だから直感を信頼することを止めないで。

 

そして直感力を味方につけつつ、成功者たちが成功したのはまた、成功するまでやり続けたから。UNIQLOの柳井正さんの『一勝九敗』を始め、彼らは七転び八起きどころの騒ぎではありません。「ダメだ」と諦めてしまうまでそれは失敗にはならず、祝福すべき成功へのプロセスのひとつです。死んでしまうまでは、志さえあれば何度だってチャレンジできます。うまくいかなくても「だったら、どうやればうまくいくのか」ということを掘り下げればいいんです。じっと動けないときがあってもいいんです。蝶だってサナギの時期があるし、すごろくだって人生ゲームだって「一旦休み」も「振り出しに戻る」もあって物語が全体になるのですから。

 

周りからは「終わってる」と思われ、自分自身も自分のことを信じられないなら、まずは頭は低く今あることに感謝しながら、肚の底の炎は着火して、3つのステップを踏む時間としましょう。命ある限り、私たちは何度でもやり直せます。そして直感がチャンスの到来を察知したら、迷わずヒュンと飛び乗って!

参考

1.https://www.nytimes.com/2011/10/30/opinion/sunday/steve-jobss-genius.html

2.ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳『スティーブ・ジョブズ』(講談社)

3.The Hiltons: The True Story of an American Dynasty より

4.Ash, S.E.(1955). Opinions and Social Pressure. Scientific American. Vol.193. 5.P.31-35. 、無藤隆, 森敏昭, 遠藤由美,&玉瀬耕治著『心理学 新版』(有斐閣)

5.https://www.youtube.com/watch?v=s5KmCGmkI1k