映画 『トゥルーノース』清水ハン栄治監督に聞く、どんな時も希望を指す心の羅針盤の見つけ方

できない現実よりも、やりたい熱意を形にできる人。
私の人生を変えた映画監督の最新作『トゥルーノース』

greenz.jpで執筆させていただいた記事のお知らせです。わたしが会社を辞めてアメリカに行ったきっかけがあるんです。それは、『happy-しあわせを探すあなたへ』という映画。当時anan編集部の編集者だった私はプロデューサーの清水ハン栄治さんに取材し、誌面にさせていただきました。その際に、清水さんがなにげなくバークレー大のケトナー博士について教えてくださったんです。で、英語もできないのに渡米(苦笑)。そんな清水さんが新しい映画『トゥルーノースを制作されました。脚本も資金集めも配給先の決定も初挑戦。なんども頓挫しかけても諦めず、10年かけて実現されたそうです。外側の現実では無理そうにみえても、内側の声をコンパスにして実現される清水さん。不安とどう向き合って、いつでも希望の方角を示す羅針盤の見つけ方を教えていただきました。

映画『トゥルーノース』のあらすじ 金正日体制下の北朝鮮で暮らす幼い兄妹、ヨハンとミヒ。父親が政治犯の疑いで逮捕され、母子も強制収容所に連行される。虐待、レイプ、公開処刑が当たり前の生活は地獄そのもの。そこで希望を捨てず、家族を愛し、同じ収容者などを想い、死に逝く者たちを看取って10年もの歳月を生き抜いたヨハンが最後に下した決断とは?

清水ハン栄治監督(しみず・はん・えいじ)1970年、横浜生まれ。「難しいけれど重要なことを、楽しくわかりやすく伝える」をモットーに映像、出版、教育事業を世界で展開。2012年より62か国で公開され、世界の映画祭で12の賞を獲得した『happy-しあわせを探すあなたへ』をプロデュース。人権をテーマにプロデュースした偉人伝記漫画シリーズは世界15言語に翻訳されている。

人生の行き止まりから救ってくれた作品。

『happy-しあわせを探すあなたへ』を観た当時のわたしは、行き詰まっていました。精神世界や霊的世界に興味があるけれど、納得いく形で伝えることができない。「スピリチュアル」をページにしようとなると、占いじみていたり、宗教的だったり、胡散臭さが漂うものが主流になってしまう。

数字がとれる人を取材対象に選ぶと、なんとなくしっくりこない。私の腕不足もあって、エンタメでみせてみると、どことなく本質が損なわれたようになってしまう。当然、まっすぐ誌面にすると読者には読まれない。そんなジレンマを抱えていたんです。

そんなとき、この映画を観させていただきました。そこで、自分が実際に体験したことを伝えたり、研究データなどの科学的根拠でサポートすればいいのでは?とヒントをいただいたのです。

当時anan編集部の編集者だった私は、映画プロデューサーだった清水ハン栄治さんに取材しました。そのとき、清水さんが何気なく「そういえばバークレー大のケトナー博士がオンラインで幸福心理学の無料講座を始めるらしいよ」とおっしゃったんです。幸福心理学とは、瞑想などを通して普通の人が幸福度をあげる方法を研究するという心理学です。

「私にはその知識がないから勉強したいな」と思って、ずいぶん迷った末に退職を決めました。その後は、清水さんにメンターのように、ビザ発行の弁護士のお知り合いを紹介していただいたり、博士の研究室で学ぶプログラムを受験するときの推薦文を書いていただいたりと、大変お世話になりました。

参考:大学で学んだあとは、家を引き払って、約2年弱、禅センターやスピリチュアルセンター、ナバホ族の集落などを渡り歩くことに。リアル『happy』生活となって、現在に至ります

その後帰国して、失礼なことにご挨拶もできないまま昨年末には病気に。めまいと吐き気が強くて本が読めず、心理学や精神世界の勉強もいったんストップせざるを得なくなりました。重度の顔面マヒもあったので、後遺症が残るかもしれないと言われていました。当時は、油断すると最悪なことばかり考えてしまう。でも病室で観たドラマや映画にとても癒されたんです。

参考:風の時代へ。冬至の心の毒だし、バシャールの現実創造で何が起こる? 突然顔面マヒに、ラムゼイハント症で緊急入院した話。

思考を超えて、心に直接訴えかけるエンターテインメントの力(ちなみに今ハマっているのは、THIS IS USというアメリカドラマ)。泣いたり笑ったりキュンとしながら、それを深く体感し、とても勉強になったんです。

そこで芽生えたのが、こんな望み。

霊的世界や心理世界について論文などで直接説明するのも好き。自分の体験から語るのもいい。でもそれだけではなく、しっかりと本質を残したうえで、笑いや涙やエンターテインメントに変えて、頭の理解を超えて胸にグッと届くようなものをつくってみたい。

ところがお話なんて書いたことがないので、どうやったらいいかサッパリわからない。行き詰まっていました。

そんなときに「新しい映画をつくりました。ぜひ感想を聞かせてください」と清水さんから数年ぶりにメールをいただいたんです。

準備ができると先生が現れる。

清水さんは、普段お会いすることはありませんが、わたしにとってはガーディアン・スピリットのような方のひとりです。具体的ではないけど確かな望みが現れ、でもそこへどう進んだらいいかわからず立ち尽くしている。そんなときに、目からウロコというか、何かしらの気づきをくださるんです。

さらには本作は、脚本もご自身で書かれ、資金集めや配給先の決定もすべて未経験ながらご自分で、試行錯誤し10年かけて完成されたとか。そして映画公開(6月4日)と時を同じくして、お父さんにもなられるそうです!

「それに比べて、私はなにも生み出せていない…..」。そんなふうに比較のトラップにハマって若干落ち込みそうになりましたが、人と自分を比べてもしょうがない。むしろそういう人が人生に現れたことは、予祝であり良い兆しです。

鑑賞後は、なんとも言えない高揚感が余韻に残りました。そして、生きているって素晴らしい!と痛感。北朝鮮の政治犯収容所という重いテーマなのに、どこか幸せな気持ちになるという不思議な力を持った映画だったんです。

病気が教えてくれた、死から人生をみて、後悔がないように生きたいという想いを後押ししてもくれました。

私にとって清水さんは、”やりたい”という想いを実現できる人です。でもいったいどうしてだろう? その行動の奥の意識、つまり見えていない後ろ側を知りたくなりました。そこでGreenzでロングインタビューさせていただいたんです。今の清水さんからは想像もできませんが、かつては在日4世としての葛藤もあったとか。では、不安とは一体なんなのか、コンプレックスとはどう向き合って自分の素敵なところと統合し、心の暗い部分を大きな力へと昇華させたのか。それを具体的に、惜しみなく語ってくださいました。たくさんのヒントや気づきが詰まったインタビューになったと思います。ぜひ読んでみてください。

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