グリーンズ「作文の教室」あなたの深い答えを知る。心の声を体で感じて書く、”傾聴ジャーナリング講座”。

2006年7月16日に創刊し、15周年を迎えたオンラインマガジン「greenz.jp」。「いかしあうつながりがあふれる幸せな社会」というビジョンを掲げていらっしゃいます。わたしがアメリカでアドレスホッパー生活をしていたときもつながり続け、執筆の場を提供してくださいました。greenz.jp副編集長のスズキコウタさんが主催する「作文の教室」のEXTRAクラスとして、傾聴ジャーナリング講座を担当させていただくことになりました。本講座は、そのほかにも現役コピーライターである丸原孝紀さんによる見出しとタイトルのつけ方指導や、スズキコウタさんの執筆フィードバックが受けられる、あなたにしか書けない、伝わる文章を書くための学びがギュッとつまった7日間。greenz.jpさん主催の講座です。

あなたの深い答えを知る。心の声を体で感じて書く“傾聴”ジャーナリング。

私がこのクラスを担当させていただくことになった経緯は、自分の実体験からです。

新卒でマガジンハウスという出版社に就職し、14年間勤務しました。広告局ではマーケティング営業をし、Ginzaというモード誌を中心に担当していました。編集者としては、Hanako編集部とanan編集部に所属しました。

参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学

どうやったらたくさんの人に伝わるんだろう? なにが多くの人にとって人気なんだろう? どうやったらこの商品の魅力を感じてもらえるんだろう? そんなふうに外側の視点を考えながら誌面作りをする大切さをたくさん教わってきました。本当に貴重な経験だったと心から感謝しています。

その後、震災後に行き詰まりを感じたんです。特定のなにが、というよりも人生全般に対して、自分がこれが良くてこれが悪いと信じてきたこと全般に対して「本当にそうなのかな…?」と思うようになったんです。

その後、いろいろあって離婚しました。300着あった洋服も処分し、特急がとまる駅から各駅停車の駅に引っ越しし、会社に向かおうと駅で通り過ぎていく急行列車を見て、みょうにホッとしたことを今でも覚えています。

それでも「本当にそうかな?」という心の声は止みません。ものすごく悩んだ末に、会社を辞めて単身アメリカに向かいました。

まず絵本を読むことから英語を学び直し、その後心理学を学びました。それでも腑に落ちず、やがて禅センターやスピリチュアルセンターを渡り歩くことになりました。その間は原稿を書くことも、心理学の教科書をひらくこともなく、お皿を洗い続け、100人近い人の料理を作り続け、坐禅し続けました。

greenz.jpさんとは、私がバークレーで心理学の勉強をしていたときに出会いました。

カリフォルニアのBioneersという環境会議について取材するという仕事を依頼されたんです。

当時の私は特に環境意識が高いというタイプではありませんでした。どちらかというと今まで消費活動を謳歌していた人間だったと自覚していました。そこで機会をいただいたのはとても嬉しかったけれど、同時に自分にそんなことを書く資格があるのかなぁとためらいもしました(そしてその思いを正直に書きました)。

スピリチュアルセンターを渡り歩きホームレス状態になったときも、greenz.jpさんは書く場を提供し続けてくれました。

「このまま私はどうなってしまうんだろう?」「どうやって生活していくんだろう?」。気づきにオープンになって生きているけれど、先が見えない不安はいつも頭にもたげ、周囲に自分の状況をうまく説明できない罪悪感や自己肯定感の低さがありました。

しかし老師やスピリチュアルヒーラーや恩人たちと出会って、次第に考えることから自分の感覚にハートを開くことにさらにシフトしていきました。忘れていたような弱々しく泣いている小さな自分や、今まで知らなかった自分の強さとも出会いました。震災後に感じたあの声が、早めにキャッチできるようになっていったんです。

そこで心を感じること、自分の感じ方にオープンになるという内観の奥深さを実感しています。

私が行ってきた主な内観法とは、坐禅や瞑想と、体(感情)を感じながら思いを文字にすること(ジャーナリング)です。

誰かのなにかの方法というより、いろんな方たちに教えていただいたことを頭だけで理解しようとせず、空っぽになって体験と癒しが私を通して起きるプロセスに任せながらやってきたことです。

新型コロナウイルスのパンデミックや気候変動など、たくさんの情報が溢れるなか、自分で答えを見つけることがますます大切になってきていると感じます。外側の世界だけに意識を向ければ、変化のスピードの早さに飲まれてしまいそうです。

内観と外観の両方がベースになる創造的な思考力が必要なのだと思います。つまり情報の大海から、自分にとっての真実を選び取るということ。

例えば「不安だ」とか「リスクだ」も、自分にとってなにが本当にそうなのか。自分のなかの「これだ」を把握した上で、全体像をつかんで、行動を決めます。自分で決断したという実感があれば、深く納得できます。自分ではない誰かや何かのせいにして嫌な気分になったり、変わるのを待ったり、期待を裏切られて無力感を抱くこともありません。自分で選んだという実感があれば、たとえ結果が望んだものと違っていても、望み直すこともできます。

そこでまず必要なのは、自分自身に目を向けること。 つまり、自分自身の内側の傾聴です。 それは、自分の気持ちや本音に耳を傾けること。大事にすること。

走りつづけるのをいったん止めて、自分の心と体の言い分を聞くこと。



私自身、内観をすることで、大切なものが変わりました。外側の評価がないと、自分はダメなんじゃ無いかとずっと思ってきたんです。それはたとえばパートナーだったり、学位だったり、社会的立場と言った表面的な現れです。自分はそういうことに囚われていない人間だと思いたかったけど、無意識にそれらに囚われていました。

とはいってもそんな自分を責めたり否定しなきゃというわけではなく、普通に周囲に合わせながら生きていたらそうなって自然だとも思います。実際に、悪いこととも言い切れません。けれど私にとっては、これが自分のハートを閉じさせ、たとえ表面的には望んだことを自分がやっているように見える状態でも、しっくりこない原因でした。

ハートが閉じていると、痛みを感じにくくもなりますが、喜びや幸せ、愛情も受け取れなくなります。周りの正解に自分の正解を合わせすぎて、苦しくなっていたのです。

いまは外側のあれこれがあっても素敵だし、無くても素敵だと思います。それがあるかないかよりも、望むエネルギー状態であるか、だと思っています。

今でもこういうことがないとなーと思うことや、ふと焦ったりダメ出ししている自分がいることもあります。と同時に、内観することでそれを自分が思考偏重になっている現れだなとも気づいています。ある局所ではそれが正解でも、場所や目線が変われば、思い込みという場合も多いですから。

現在の私にとってもっとも大切なものは、今目の前に在る人たちや自分自身との関係性です。

ホンネを傾聴し続けることで心の垢が洗い流され、 やがて自分の価値観に沿った選択ができるようになります。 それはあなたの内面奥深くにある価値観です。あなたをあなたたらしめる本質的な部分であり、あなたを最も生き生きさせる源泉です。

自分の思いを傾聴し、書くという内的な世界に入っていくと、 やがてたった一人でいても、自分は一人ではないともわかります。

孤独や不安、満たされない思いとは、実は誰かや何かのせいではなく、私たちが、自身の大切にしたいことと自分を切り離したところからくる悲しみや寂しさだからです。

その核となる部分を大切にすることで、やがて周りの人の核となる部分を大切にすることもできます。

参考:一緒にいると、本当に癒される人の特徴。良いヒーラー、カウンセラーの役割、選び方とは?

私のEXTRAクラスでは、体のサポートを借りて心の声を傾聴します。内容としては、マインドフルネスとジャーナリングを組み合わせた、独自の手法で行います。

マインドフルネスは漢字で“念”と書きますが、つまり今の心です。 マインドフルネスでは、呼吸をつかって、心を「今、この瞬間」に置きます。そこで生じた思いや実感を良い悪いと○も×もつけず、ありのままの状態としてただ観察します。

ジャーナリングは書く瞑想とも言われ、頭に浮かんだことをただただ手書きします。

参考記事:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法

他者のニーズにしたがって行動することに慣れているあなたが本当に何を感じているのか。

核心となるあなたの内側の声を傾聴することを体で体験していきます。 そして安全な場をホールドしながら、各自心の声を心と体で感じながら文字にして紙に書いていきます。

あなたの思いや思考を文字にして脳や体の中から外部に取り出すと、抑圧された感情が発散されるだけでなく、外在化させることでそれらを客観的に捉えることもできます。

このワークを通じて体験を捉え直し、感情や衝動、気分に流されないあなたの核となる価値観に触れていただきます。書くことに囚われず、たくさんの情報があふれる社会で、自分で答えを見つけたり、変化の渦中でも感情に流されず、人生をどう生きたいのかを知るための強いサポートにもなることでしょう。

本クラスの後に、副編集長のスズキコウタさんや広告会社コピーライターの丸原孝紀さんからのフィードバックを受け、原稿を洞察したり、高い視点で捉え直したり、効果的に伝える原則を身につけて、書き手としての堅固な土台がつくるという、greenz.jpさん主催のクラスです。

みなさんにとって、豊かな時間になればと思います。

ご興味ある方は、どうぞgreenz.jpにての募集告知欄をご覧ください。