現実創造では、過去・現在・未来は同時に存在する。理想の未来の自分を設定するための質問とは?

私たちは過去に限定されず、それぞれに思い描いた現実や未来を創造しています。脳は約1年ですべて入れ替わり、心や体は常に変化しています。しかし心理学者によると、私たちのほとんど全員は、過去から逃れられず、未来の自分は基本的に今と同じと錯覚するとか。一方量子物理学の世界では、過去・現在・未来は同時に存在します。そこで理想の未来の自分とつながる戦略、なりたい自分を設定するための質問についてお話ししたいと思います。

私たちは常に変化しながら、過去の決断を悔やむ存在。

仏教のもっとも有名なお経「般若心経」で説かれるのは、諸行無常の教えです。つまり、私たちは絶対固定的な存在ではなく、常に移り変わるということ。はかない束の間の存在なのです。

私がそれを強く実感したのは、昨年末に突然患った顔面マヒ。前日まで普通に飲めたコーヒーが、唇が動かないので口から溢れてしまうんです。昨日の当たり前は永遠ではないんだなぁと実感しました。

参考:風の時代へ。冬至の心の毒だし、バシャールの現実創造で何が起こる? 突然顔面マヒに、ラムゼイハント症で緊急入院した話。

同時に私が抱えていると気づいたのが、過去の決断への後悔です。つまり過去の囚われ。「あのときに、あの病院ではなく2番目の病院に先に行っておけば…」と。

実は、顔面麻痺になる前の兆候として、キリを刺されたように耳や頭に激痛がしたんです。しばらく痛み止めで放置し、その後の病院でも重度の麻痺になるまで原因を特定できず、大事となって緊急入院となってしまったからです。

そして、その後半年を経て誕生日を迎えました。海につづくプールで泳ぐという機会を自分に贈ったところ、過去の囚われからようやく解放されました。「この病気は必然だった」と頭の理解だけでなく、心と体で深く実感できたんです。水の中で体を伸ばし、青い海に癒され、栄養ある食事とベッドで安眠し、全身が喜んでいることがわかりました。病気になったことで、休むことや体をいたわることを自分に赦せたんだと気付いたんです。顔が動かないぐらいのわかりやすさや大きなピンチで強制終了されなければ、引き続き突っ走っていたでしょう。

さらに原稿も内側の影響を確認しながら書くようになりました。頭の理解と体の実感を統合させるようになったんです。いまだに少し残る顔のけいれんは気持ち悪いですが、体の声をキャッチしやすくなったことで直感力が磨かれました。振り返れば結果として、良いことがたくさんあったのです。

参考:願う現実が引き寄せられないなら。微細な望みをキャッチし、叶える簡単なコツ

とはいえそんな未来の自分を想像するのは、状況の真っ只中にいるときは難しいものです。体も心もサバイバルモードでそんな余裕はありません。この悲劇が永遠に続くような気分にも陥ります。



価値観も好みも変わるので、現状から未来を悲観する必要はない。

それは私たちのほとんど全員が持つ錯覚だと、ハーバード大学の心理学者ダニエル・ギルバート博士は、TEDトーク「The Psychology of Your Future Self(未来の自分に対する心理)」で語っています。

「人は未完成なのに、自分たちは完成していると勘違いしている」と。つまり私たちは、今の状態の自分がこれからもずっとそうあると考えがちなのだそうです。

彼の研究によると、

価値観(人生で成功、健康、喜びの3つのどれをどれぐらい重視するか)

性格(外向性や内向性、情緒不安定性、勤勉性などの性格因子)

基本的な好み(一番の親友、お気に入りの休暇、趣味、好きな音楽)

において、どの世代においても未来の自分の変化を少なく見積もる傾向があったそうです。

とはいえ意図しているかどうかにかからわず、時間は私たちの好みを変え、価値観を新たにし、性格を変えます。現在のあなたは過去のあなたと同じように、束の間の存在。絶えず変化します。

だから現状から未来を悲観する必要はないのです。とはいえ先の自分を正確に想像するのは誰にとっても難しい。そこで自分が望むように未来をコントロールすればいいのです。

過去・現在・未来が同時に存在する量子物理学の世界。

量子物理学の世界では、すべての時間が同時に存在する可能性があります。アインシュタイン方程式によって直接導き出されるモデルでは、現在と過去、未来が等価の現実になります。

つまり、過去に存在したものも、今存在しているものも、これから存在するものも、時空のどこかにある」とは、豪シドニー大学時間研究所のクリスティー・ミラー博士。

参考:未来の自分とつながるとはどういうこと? 今、なりたい私になるために必要なことは。

つまり、5年後、10年後、20年後に実現するであろうすべての知恵を蓄えた拡大版の自分が今この瞬間に存在しているともいえるでしょう。それはハイヤーセルフの自分とつながるということでもあります。

参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法

この未来の自分とアクセスする方法さえ知っていれば、その幅広い知恵と意識を現在の自分に取り入れて、今は見えていない資源や可能性を利用することができます。



理想の未来とつながるために今行うべき戦略とは?

理想の未来の自分とつながるために、今行うべき戦略があります。

マインドセット「やればできる! 」の研究』著者で、スタンフォード大学心理学教授のキャロル・ドウェック博士は、能力を発揮するための心の持ち方(マインドセット)の研究をしています。

長年の研究から、「自分の能力は成長せず固定してしまっている」という固定型マインドセットではなく、「能力は努力や方法で変えられる」という成長型マインドセットを持つ人が能力をさらに高めて目的を達成する人だとか。

そこで、現在の自分ではなく、なりたい自分を定義することの重要性を説いています。つまり、理想の未来の自分を想像して設定するということ。

未来の自分とは、あなたがそうなろうと決めた人です

なりたい未来の自分を設定する質問。

それを明確にするためには、こんな質問が考えられます。

あなたはどんな人になりたいですか?

どこにいたいですか?

何をしていたいですか?

どんな気分、感情を体験したいですか?

一緒にいたい人は誰ですか?

設定した目標を達成したとき、誰に立ち会ってほしいですか?

それを実現するために、自分は今、何を変えなければならないですか?

今日できる最初のステップは何ですか?

例えば(Aで夢の仕事を得た、Bの金額を稼いだ)など具体的な内容が思いつかないときは、それにこだわりすぎる必要はありません。

個人的には、望む未来の自分が経験するであろう感情(例えば、安らぎ、落ち着き、豊かさ、地に足がついている、自信など)を先取りする方がパワフルだと感じています。そんな感情を抱きながら、問いに答えていきます。

参考:願望実現は、好きなことを頑張らずにやるとうまくいく? 潜在意識の仕組みと感情の先取りとの関係について。

答えは静かな場所で思いをつづるジャーナリング(書く瞑想)や、信頼できる友人やカウンセラーなど、あなたの一番美しい可能性を信じて応援してくれる人に話を聞いてもらって得てもいいでしょう。恐れや制限、嫉妬から自由で、客観的な安定性を保ちながらあなたの最もポジティブな未来を映す鏡に、その人になってもらうのです。それは、あなたに良い脚本を与えてくれるような人。ちなみに私は新月の夜にノートに書いて、未来の自分に聞いてもらったりもしています。

参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法

とくに自分のなりたい姿を人に伝えることは、非常に大きな力を発揮します。けれども心が定まるまでは、「ムリだ」「今のあなたのままがいい」と意見する相手には、あなたの心の中にある疑いを強めてしまうことになるので、しばらく話さない方が安心です。

また疑いや恐れを乗り越えて、最終的に目的を達成するために、自分への思いやり(セルフ・コンパッション)を育むことも大切です。

参考:あなたと私の集合的無意識を同時に癒す「セルフ・コンパッション」の力とは?

未来の視点から答えを得ることは、あたかも自分がすでに成功しているかのように見え、驚くほどの癒しになります。また、『引き寄せの法則 エイブラハムとの対話』や『ザ・シークレット』に書かれているメッセージにも通じるものがあります。なりたい自分をイメージしながら行動に移せば、きっと宇宙があなたをその道に導いてくれるでしょう。