私たちが夢を見る理由は、大きく3つ。夢解釈で答えを得る方法や悪夢を見ないためのコツは?

昨晩に嫌な悪夢を見ました。卒業したはずの学校で突然試験を受けることになったり、宇宙戦争で森の中を走って逃げていたり…。夢では右往左往しながらも、あり得ないような状況や奇妙な登場人物を受け容れています。いったいなぜ私たちは夢を見るのでしょう? 夢は、今直面している現実の問題にどう対処したらいいかを教えてくれる貴重な存在。そこで夢を見る3つの理由と、夢を活かすため、そして良い夢を見るために私たちが出来ることについてお話します。

私たちが夢を見る理由は、大きく3つ。

夢を見る理由その1. 記憶の整理

現代心理学では、睡眠中の脳は、記憶の整理をしていると考えられています。長期記憶として脳内に定着させるとき、私たちは体験した出来事をジャンル別にフォルダ分けして記憶します。

図書館で「日本文学」「英米文学」「趣味・実用」「経済・ビジネス書」とカテゴリー別に本が仕分けられているように、私たちの脳のライブラリーでも記憶がジャンル別で整理されているのです。

体験したエピソードを脳が思い起こして、不要な記憶を消去したり、保存する場合にまとめたりするときに、夢が生じます。つまり記憶を選別・並べ替えする作業が夢なのです。一夜漬けして試験を受けるよりも、適度な睡眠をとった方が、暗記力が高まると言われるのは、このためです。

脳機能が正常な人の場合は、1日3〜5つの夢を見ると言われています。覚えていないのは、睡眠中には記憶を固定する神経物質が出ていないため。ストーリー性の高い夢は、『体は眠っているが、脳は起きている』状態のレム睡眠(急速眼球運動 (Rapid Eye Movement) )中に見たものの可能性が高いです。中でも目覚める直前に見たものの一部が、私たちが「今日見た夢」として語るものです(※)

夢を見る理由その2. 感情の処理

夢の中では、過去と現在がごった返しになっていたり、自分が別人だったりと、奇想天外な設定で時空の制限もありません。でも、夢を見ている間は、それを当たり前だとしている。つまり夢では、現実とはこうあるべき、という思考の検閲が緩んだ状態にあります。

そのため夢の中では覚醒時よりも自由に感情体験ができます。そこで夢は、とくに感情を伴う記憶の整理、つまり感情の処理をするものだとも考えられています。

フロイトが、夢を精神分析に利用する。

そこで夢を内面世界にアクセスするための鍵としたのは、精神学者のフロイト(ジークムント・フロイト)です。

フロイトは、夢には顕在意識では認められない願望が現れるとしました。彼自身父の死後に心の危機を迎え、自分の夢を分析することで乗り切りました。

フロイトと同じく中年期に精神崩壊の危機に陥ったユング(カール・グスタフ・ユング)も、その経験を昇華させて分析心理学を生み出しました。ユング派では、フロイトと同じく夢は無意識からのメッセージとしながらも、夢を抑圧された性衝動の補完とする考えからは一線を置いています。

フロイトが人間の行動の源を獣性としたのに対して、ユングは、無意識の奥底にある宇宙の叡智に見ました。

ユングの夢分析、拡充法とは?

ユング派では、人の考え方や感じ方には個人を超えた人類共通の型、集合的無意識(集団や民族、人類の心に普遍的に存在すると考えられる共通のイメージ)も深く影響すると考えました。

参考記事:パンデミックの時代に心の種に水をやろう。幸せのための集合的無意識の活かし方。

夢の中で特定のテーマが繰り返し登場する場合、個人の課題のみならず、集合的無意識の元型が現れている可能性がある。そこで夢の分析では、拡充法(Amplification)という手法を用いて、夢が持つ意味を膨らませます。

拡充法では、夢から思い出されることをファンタジーの世界(神話やおとぎ話、昔話)との共通項から理解します。はっきりと言語化出来なくても、イメージの変容だけでも、より真の自己を自覚できるようになるのだとか。

ジョセフ・キャンベルが考える神話に共通する8つのステージ。

数々の神話の研究者として真っ先に挙げられるのが、アメリカの比較神学学者のジョセフ・キャンベルです。彼は神話における英雄の旅 には、8つの共通のステージがあるとしました。これは、私たちの人生における学びの体験と共通するものがあります。

1. 天命(ミッションが降りる)
2. 出発(冒険の旅に出る)
3. エッジを超える(成長し、問題解決する)
4. メンター(師との出会い)
5. 挫折(宿敵に負ける。今までの力では歯が立たない)
6. 変容(本当の自分の力が身につく)
7. 課題達成(宿敵を倒す)
8. 帰還(学びを終えて故郷に帰る)

私はときに夢のメッセージをこれに当てはめて向き合います。

例えば、悪夢は、5の段階にある私たちのあり方が試されているとも考えられます。夢で、変容を起こすために必要なものが何か、記憶を整理しながら確かめているとも言えるでしょう。

個人のスケールだけで夢を理解せず、その創造過程に身を委ねてみることでより深い意味が理解できます。個人的な人生だけでなく、環境や時代背景も踏まえて、自我を超えた深いレベルでの全体テーマをとらえるとより深い理解が得られます。そうすることでより直観的で、人生を転換させる共時性へと導かれていくでしょう。

夢を見る理由その3. 未来の準備

進化論の立場で、夢は記憶の整理に止まらず、『今後必要であろう行動をシミュレーションしている状態』 という仮説もあります(※)

夢を見る間、筋肉がゆるんで肉体の動きが止まります。ノンレム睡眠中の猫などの動物実験では、体の動きが止まらないようにすると、猫が攻撃的になり、獲物を捕らえて食らおうとすることが確認されました。つまり夢の中で猫は、狩りをして攻撃をしかけるという未来のシミュレーションを行っているらしいのです(『睡眠と夢』より)

スピリチュアルな世界では、思考から比較的自由な睡眠中は、霊的な会議が行われているとも言われます。そのため転機の前は、魂が高次の知恵を、肉体が休養を求めることで、著しく睡眠時間が長くなるとか。高い次元の波動と意識が合わない限り、インスピレーションを受けて新しい方法を模索できないからです。そのため、肉体(物質の次元)を一時的に離れる必要があるのです。

そこで眠たいときは霊性も肉体もそれを求めているというしるしなので、思いっきり眠ってください。リフレッシュした後に、いずれ忙しく充実した日々がやってきます。

夢から答えを得る方法。

ユングの影響を受け、死後の世界やテレパシーの存在を信じていた心理学者のジェームス・A.ハドフィールド。イギリスにおけるサイコダイナミック精神セラピーの第一人者で精神分析医ビオンの分析者としても有名です。著書『夢と悪夢 』では、

ある夢をエディプス・コンプレックスと解くにせよ(フロイト)、力の衝動とするにせよ(アドラー)、人種的無意識の力をいかに統合するかということにせよ(ユング)、とにかく夢のすべては、問題の提起がされている。

といいます(現代人の夢診断―夢を創造的に生かすために』より)

では、夢から問題の答えを得ることができるのでしょうか?

夢のセラピストであるジョイス・ぺチェックは、夢から情報を得る5ステップを勧めています。

step1: あお向けに寝て、足の指先を重ね合わせる。

step2: 両手の指で三角形を作り、それを太陽神経叢(胃の上あたり)に置いて、目を閉じて呼吸に集中する。口は少し開いている。

step3: 心が安まり、考えが浮かんだら、こだわったり分析したり裁いたりせず受け流す。

step4: 2-3分たって、心が空っぽになったら、夢の中で答えをもらいたい問いをする。心の中で問いを3回繰り返す。

step5:そのまま眠る。答えが得られないときは、続けて3晩続ける。

それでも答えが得られないときは、まだ答えを受ける準備が整っていないということです。新しき流れの中へ―『第十の予言の教え』より

悪夢ではなく、良い夢を見るために必要なこと。

ここまで読んで、悪夢を見ないコツがわかった方もいるでしょう。そう夢は、意識的にも無意識的にも、私たちが見ている世界にものすごく影響を受けているということ。




つまり、夢には個人的な夢と集合的無意識を反映している夢があるのです。個人的な夢には、人生の課題や不安、人間関係などを反映します。

ぺチャックは、「個人的な自己を超えて、全体に関心を持つようになると、非常に変わった夢を見るようになります」と語ります(新しき流れの中へ―『第十の予言の教え』より

物理的な現実の背景には、みんなが同意している共通の意味づけ(集合意識の元型)があります。令和3年の現時点でいえば、新型コロナウイルスの発現にもあらわれるように、私たちは先行きが見えない不安を共有しています。実際に、The New York Times誌がコロナ禍で奇妙な夢を見る人が増えたと報じられています。

共通の意味づけの根底にあるのは、自分の現実は他の何か(誰か)によって左右される存在だとする私たち集団心理の恐れでしょう。選択できないと感じたときに、人はその力を失うものだからです。

悪夢とは、強い願望がある裏返しです。そこで現実を可能な範囲で、選択の力を取り戻すために自分が望む形にアレンジしていきましょう。毎瞬間ごとにできる範囲で構いません。一番ホッとしたり、ウキっと心が踊ることを選びます。それをあなたがしてみたいと思うなら、資格がないと諦めないで。したいと思った時点で、もう十分やってみる資格があります。

つまり良い夢を見るために出来ることは、ただただ今を良い時間にしていくことです。夢では、体験の記憶が取捨選択され、整理されているからです。また魂レベルで言っても、自己否定が強いと、あらゆる経験を高次元の空間に入れる(アクセスする)ことができません。そして悪夢を見たとしても、それが自分を縛りつけるものではなく、解放させてくれるものと受け容れることで、ヒーリング(本来の自分であることを許してあげること)のための良い経験とみなせるでしょう。

つまり、夢も含めてなにごとも自分にとって必要なことが起きているとニュートラル(中立的)かつポジティブ(前向き)にとらえることで、夢も現実も望むものに変わります。

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