これでわかる!マインドフルネスとは何をするのか、どういう状態か。ヴィパッサナーとの違いは?

人間関係などのストレスを減らしたり、仕事での創造性を高めたりするのに良いと噂のマインドフルネス。実際何をするのか、どういう状態なのか、それがナゼ良いことに繋がるのか。シンプルにわかりやすく本質を伝えたい! ということで、世界にマインドフルネスを広めたティク・ナット・ハン禅師の合宿に参加したことをきっかけに、アメリカで幸福学を学び、ついには家を引き払って禅センターで雲水生活をした元女性誌編集者が実体験をもとに解説します。

マインドフルネスな状態とは?

マインドフルネスとは、今ここに心を集中させることです。それは、「ムカついている」という今の気持ちを自覚していたり、皿洗いをしている水の温度を実感していたりする状態。それすなわち、すごい禅マスターやスピリチュアルリーダーよろしく、心を無にして世界との一体化(ワンネス)を感じるような超越体験というわけではありません。またはマインドフルネスでリラックスして幸せになり、世の中が即バラ色になるとか。思わぬひらめきがザックザクわいて大金持ちになれる、というわけでもありません。むしろ嘘かと思うぐらい本質的で地味な実践なので、そんな期待を持つと、一瞬盛り上がっても明日にはもうマインドフルネスをやる気も失せるでしょう。けれども成功者たちを観察すると、彼らは共通してマインドフルな状態になっています。彼らは自然と、自分が今やっていることを自覚して、定めた方向に集中する力があるからです。

マインドフルネスとヴィパッサナーの違い。

マインドフルネスというと、まず瞑想のことを想像されると思います。そして調べていくと、“ヴィパッサナー瞑想”という言葉に行き当たるかもしれません。私も何度かゴエンカ式の10日間ヴィパッサナー瞑想合宿に参加したり、運営側に回ってボランティアしたりしましたが、それは後生大事に握りしめていた自分の不要な思い込みを自覚させてくれる壮絶な体験でした。

「充分じゃない」「もっと頑張らないと!」ヴィパッサナー瞑想で自分にダメ出し号泣 #14

ではマインドフルネスとヴィパッサナーの違いは何かというと、ヴィパッサナー(vipassanā)はパーリ語で「観察する」という意味。マインドフルネスは、パーリ語のサティ(sati)を英訳したもので、仏教の正念(しょうねん)の“念”のことです。正念とは文字どおり正しい“念”という意味ですが、それは、ものごとをあるがままに心にとどめ、常に真理を求める心を忘れないこと。そこでマインドフルネスの語源である“念”だけの意味は、「気づき」や「気をつけること」とも言えるでしょう。つまりこの2つの言葉の関係性は、ヴィパッサナー“観察”で、マインドフルネスする“気づく”と、とらえるといいかと思います。

わりと丸字でポップなティクナットハン禅師の書。「気づいていますか? 間違った認知は不正確な考えや不要な苦しみを招きます」という、ドキッとするひとことが書かれている。

ブッダによるマインドフルネスな悟りの3ステップ。

ヴィパッサナー瞑想でマインドフルネスすることで、ブッダが示した悟りへの3ステップは以下です。

  1. 呼吸など特定の対象に意識を向けることで、集中力を極限まで高める
  2. 1の集中力を使って自分の内面(心と体で今何が起きているのか)をひたすら見つめる。(「『つまらない』という考えが浮かんだ。「右ひざが死ぬほど痛い」などの心の変化にリアルタイムで気づく作業をジミに繰り返す)
  3. 内面の変化を観察するうちに、「どんな思いも考えも移り変わるので、目の前の出来事が永遠不変だというのは思い込み(イリュージョン)だ」という確信が生まれ、欲望やいっときの感情にのまれにくくなる。(嫌な気持ちを持っても、それにどう反応するかという心の余裕が出来るので、苦しみが消えていく=悟りの状態)

瞑想以外でもマインドフルネスはできる。

マインドフルネスが何かに意識を向けて集中し、いまの自分を観察して気づくことなら、別に瞑想じゃなくてもいいんじゃない?と気づかれたかもしれません。そうなんです。瞑想はこれを一番効果的にやれる方法ですが、好みじゃないなら別の方法でやりましょう。

例えば普段の家事をマインドフルネスに変えてしまうこともできます。お皿を洗うときにはとにかくそれに集中して、皿の質感、水の温度の感じをひたすら観察してみても、それマインドフルネス。トイレ掃除しながら、「ウヘェ、汚いな」と思ったら、「あぁ、今私、汚いな。嫌だな。って思っているな」と気づくことも、それマインドフルネス。美術館で器の美しさに心奪われて、その器と自分しか世界に存在しないぐらい今の状況に没頭していたら、それすなわちマインドフルネスなのです。

生活の中でそんな意識的な時間を増やしていけば、今現実に起きていることに敏感になり、頭の中の幻想とそうではない事実とを識別する力が磨かれていきます。マインドフルネスが頭の断捨離になるというわけ。また目の前の出来事に反応する自分を観察する目を養うことで、感情の波に巻き込まれて軽率なことを言ったり、後悔してもしきれないような行動をとることも次第に減っていきます。不幸の原因は大抵、「あんなこと言わなきゃよかった」「こんなことやらなきゃよかった」です。過去を消すことができませんが、マインドフルネス力を高めることで、過去より今、明日につながる今、何をすべきかが自ずと見えてきます。