私が「触れる」瞑想を初めておこなったのは、アメリカのエサレン研究所というところで暮らしていたときのことです。14人の仲間たちと朝から夕方まで働き、夜は授業という生活を送っていたのです。
そこで、体には深い叡智があること。もっと具体的にいうと、体の声に耳をすませることで、自分やこの世界を形づくる本質とつながることができることを教わりました。
参考:思考の9割は昨日の繰り返し。無意識の選択を超えて、望みを実現する方法。
私たちが歩こうと足や腕を動かすとき、「歩こう」と思って、脳が体に命令して前にいったり、後ろにいったりと体が動いていると感じます。
でも科学者リベットの実験によれば、心がそう意図したよりも0.35秒早く、無意識下の脳では指を動かすための準備(運動準備電位)が生じているのだそうです。これは他の実験でも繰り返し同じ結果が出ていること(『脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説』より)。
私たちを形づくる世界は、当たり前に見えて、実は不思議で出来ているのです。
体が向かうままに手足を動かすことは、最初は怖かったです。コントロールを失ってしまうようで。
ある日、音楽を聴きながら「動く瞑想」が、優しく手のひらで両目をおおう「触れる瞑想」になったとき。涙があふれだしました。
その触れ方がとても優しくて。そのとき、私のまぶたが求めていたとおりのタッチだったんです。
そして、封じ込めていた記憶があふれ出しました。
「あのときの私は、あのことを見たくなかったんだ…」
「平気だって思っていたけど、こんなふうに優しく両目に手をおきたかったんだ」
そう思いました。
そんな不思議だけど、より確実性がある(実感できる)本質とつながりたい。
参考:プルシャとプラクリティ
そう思ったことで、私は「体の声を聴くこと」、瞑想やマインドフルネスの世界にハマり込んだのだと思います。
参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学。
私たちの体をつくる細胞は、約60兆個ともいわれています。
細胞生物学者の永田和宏さんによれば、全身の細胞を一列に並べると、なんとその長さ約60万キロメートル。地球を15周もできる長さになるとか(『ベスト・エッセイ2018』収蔵 永田和宏著『〈知〉の限界を楽しむ心』より)。
私たちの不思議に触れるとき、それは小宇宙のようで、私は、宇宙のことを想います。
どちらも知れば知るほど、「こうだ」「こうあるべき」という確実性が崩れ、新しい発見があふれ出すからです。
そこで、宇宙飛行士の野口聡一さんとシンガーソングライターの矢野顕子さんの対談本、『宇宙に行くことは地球を知ること「宇宙新時代」を生きる』を読んでいました。
そこに野口さんの興味深い言葉がありました。
身体と心の安定という点では、
無重力空間で座禅(坐禅)を組むとかえって身体が不安定になり、
それが心理的な不安定感にも繋がったように思います。
では、宇宙ではどんなときに安定感を感じるのか。
宇宙飛行士は眠るときに寝袋に入りますが、空間にポツンと浮かぶよりも
寝袋で軽く拘束したほうが安眠に繋がることは、
多くの宇宙飛行士が口にします。
面白いなぁー、と思ったんです。
無重力状態では足を曲げても伸ばしても、重力が全くかかりません。
そこで夜間では、足を動かしたという情報も脳に届かないそうです。
ところで国際宇宙ステーションは、90分で地球を一周します。
だから45分置きに夜がやってくるとか。一気に暗闇の洞窟に放り込まれたようになるそうです。
昼と夜が45分置きにやってくるというのもすごい話。
さらに宇宙空間では、今感じている心地よいとか心地よくないという感覚が変わるんですね。
そんな体験をすると、「こうに違いない」「これが絶対」という思考の枠も外れるのだろうと思います。うらやましいな。
でも、なにげない毎日の中でも、当たり前をちょっと揺らがすことで、小さなことでも自分の中の宇宙が変わるような体験にできます。
先日「触れる瞑想」について教えていただく機会がありました。そこで、アロマオイルでセルフマッサージをしていたんです。
「足のうら同士を合わせてみましょう」と言われて、やってみたときに、小さいけど確実な揺らぎを実感しました。
私が愛用するのは、Huxley(ハクスリー)のモロッカンガーデナーというボディオイル。
田中みな実さんもオススメされているみたいですね。
私の場合は、顔面マヒになってから左側にほうれい線が出るようになってしまって。LINEのグループチャットで良いコスメはないかと尋ねたことがきっかけで、出合ったんです。
ある商品を紹介してもらい、StyleKoreanという通販サイトだとお安くなるよと薦めてもらったんですね。
早速その商品を購入したときに、デザインと希少なウチワサボテン種子オイル配合という点、しかも半額になっていたので、一緒に注文。そして、オススメされた商品よりも、むしろこのボディオイルのほうにぞっこんしてしまったのです。しっかり潤うのにベタつきません。内側から潤う感じです。
フレッシュなお花畑に包まれたような、アーシーだけどフラワリーな香りも好みで癒されるので、この使い方で正しいのかわからないけど、私は顔にも体にも使っています。保湿が行き届いたせいか、ほうれい線も目立たなくなってきました。
「エコサート」認証で、モダンなデザインと優しい空気感の両方好みという人にオススメです。
たっぷりこのオイルでマッサージした後に、足うらを合わせてみました。
足のうらはいつも床などの硬いところに触れていて、重い体重がかかっている場所です。
そんな足のうらに柔らかさという感覚を感じさせること、肌感を持つ時間を持つことはとても大事なんだそう。
すると赤ちゃんに触れたときのような、猫をなでているときのような、ふわっと優しい気分になったんです。
「へぇー」。驚きました。
新しい宇宙が広がったような気持ちになりました。
足をマッサージをしたことはあっても、今まで足のうら同士を合わせたことってなかったから。
ちょっと違うことをしてみるだけで、ご褒美みたいな温かい感覚とつながれるんだなぁって。
考えるよりも、ちょっと感じる時間を持ってほしい、持ちたい。
そんなふうに自分の宇宙とつながると、心の思い込みが外れて小さな小宇宙が広がり、優しい気持ちになれます。