今日は、国際女性デーだそうです。『82年生まれ、キム・ジヨン』の作者チョ・ナムジュが『彼女の名前は』に寄せた、日本の読者へのメッセージ。ジェンダー課題だけではなく、どんな性別や立場の人でも、私たちが「活きる」営みすべてに関わることだと感じたので、シェアしたいと思います。
目次
国際女性デー。すぐ割れる卵で岩に打って得られるインパクト。
国際女性デーとは?
1975年3月8日、国連によって制定された国際女性デー。2022年のテーマは、「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」、だそうです。
『82年生まれ、キム・ジヨン』作者のメッセージ。
そんな今朝の新聞に作家チョ・ナムジュの『彼女の名前は』の広告記事がありました。そこで引用されていた、彼女の日本の読者へのメッセージ。ジェンダー課題だけでなく、ウクライナ侵攻、それ以外にも日々の生活など、どんな性別や立場の人にも響く言葉だと思いました。
チョ・ナムジュは、『82年生まれ、キム・ジヨン』の作者。ベストセラーとなった本作は映画化され(大号泣しました)、5年間で、海外でもっとも売れた韓国文学(※)といわれています。
(※)韓国文学翻訳院調べ/2016〜2020年。
そのメッセージがこちらです。
韓国には「卵で岩を打つ」ということわざがあります。
卵を投げつけたからといって岩を穿つ(※うがつ。岩に穴をあけること)ことができないように、絶対不可能で無謀なことをいう言葉です。
これに対して「卵で岩は割れなくても汚すことはできる」というジョークも生まれました。
誰が言い始めたのかわからないこの言葉が、私はとても好きです。
役に立たない巨大な岩が私たちの全身を妨げているとき、そうか、と足を止めたり、ひき返したりしたくありません。
ここにそぐわない岩の塊が道を塞いでいるよと声を上げたいのです。一緒に悩んでみたいのです。
もしかしたら、ここにある物語は巨大で堅固な岩に投げつけられ割れた、無数の卵の痕跡かもしれません。
そして私は、今日も卵を投げつけています。
いつかこの岩は割れるはずだと、みんなで動かしてなくせるはずだと信じながら。
向こうにどんな道があるのだろうと、胸をときめかせながら。
―チョ・ナムジュ『彼女の名前は』より
参考/いかしあうつながりをメッセージに込めた記事:AIで顔や声を合成する技術「ディープフェイク」をドキュメンタリーに。 映画『チェチェンへようこそ-ゲイの粛清-』に見る、 デジタル技術やアバター(分身)で社会を変える方法。
大きなことは小さな始まりから。
何か大きなことがあって、それがどうみたって変えられないように見えるとき。自分のことをとても無力な存在のように感じます。
けれども宇宙の法則やスピリチュアリティ、仏法などの東洋思想は、私たちは大海の一滴の水滴でありつつ、大海でもある。この世界を形づくる法則の現れであり、創造主でもあると説きます。
参考:プルシャとプラクリティ
そんなことを、チョ・ナムジュさんのメッセージから思いました。
また、私がアメリカで出会ったギフトエコノミーで暮らすニップン・メッタさん。
彼から、彼が始めた恩贈り形式のレストランのカルマキッチンで渡された
“Big things have small beginnings(大きなことは小さな始まりから)”
という一枚のカードに書かれた言葉もリフレインします。
参考/ニップンさんについて:お会計ゼロ円レストランオーナー、ニップンさんのギフトな生き方#11
参考/ギフトエコノミーについて:ギフトエコノミーは資本主義経済とも両立できる。服部雄一郎・麻子さんに教わる、豊かなお金の使い方と自然の恵みにならう暮らしのはじめ方
禅語にも、勤精進(ごんしょうじん)という言葉があります。
簡単なことでもコツコツ続ければ、精進の清々しさとつながれるということです。
おのれの小ささを知りながらも、その小さな営みに込められた偉大な力を信じる。
今日は改めて、そんな1日を過ごしたいなと思います。