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[22]白いワンピース

朝はお仏壇にお線香を供えた後に、軽くホウキで掃除するところから始まります。今日は床拭きをしたくなったので家を網戸にして開放し、全身白い服で雑巾掛けをしました。白い服で掃除をするなんて、機能的ではないように思いますよね。私もそう思います。でも今日は全身白の気分だったんです。

 

朝起きてクローゼットに立ったら「白が着たい!」と心が言ったので、自分の感覚を大事にすることにしました。当たり前のように思考でないがしろにしていたそういう気分をひとつひとつ立ち止まって大切にすること。帰国してから特に、その練習をするようにしています。

 

パリで買ったお気に入りの白いブラウスに15年ぐらい前から愛用している真っ白のレースのワンピースを合わせて、キャス・キッドソンのエプロンをかけて雑巾掛けしました。お気に入りのワンピースが汚れてしまったら、洗濯して洗えばいいんです。もし汚れが落ちなければ残念ですが、だからって私の人生が台無しになることはありません。それどころか「今このワンピースを着たい!」という気持ちを叶えてあげたので、気分がずいぶんいいものです。

 

小さな希望を自分で叶えてあげる。自分を大事にする、幸せってこういうことなのかなぁと思います。

 

床拭きをすると、家が本当にピカピカします。それを見ながら嬉しくなって、丁寧にコーヒー豆を挽いて淹れて飲んだ後に、いつもとちょっと違うことがしたくなりました。

 

そこで432Hzの音楽を聴きながら、不思議な万年筆を使って絵を描いてみることにしました。何気なくメキシコ製のシルバーのハートのロケットの彫り模様をなぞるうちに、描き終えたらクジラのようになっていました。

 

プラット・インスティチュートで戦争が及ぼす影響を研究しているルカ・ルシックという心理学者がいます(1)。彼がサラエボ包囲を生き延びた人々について研究したところ、空間認識が研ぎ澄まされた人々が多かったことが明らかになりました。つまり非常事態を受け入れ、「生きる」ことを選択した人たちには、防弾や爆弾を避けるスキルが身についたというのです。

 

不思議な万年筆で絵を描きながら感じたのは、やっぱり私たちは一人で生きているわけじゃないということです。

確実に何かに守られている。それはたくさんの他の人からのサポートというのはもちろんですが、その前の大前提として、それをご先祖さまなのか、生命の流れを作る宇宙真理なのか神様なのか、なんと呼ぶのかはわかりませんが、私たちをいつも守ってくれているものが在るということ。

 

私たちがまず自分のことを大切にして好きになり、そのうえでコントロールできないものへの抵抗を無くしたとき、そのいつも一緒にいる高次の存在が、私たちのことを助けやすくなるように感じます。

 

  1. https://www.pratt.edu/faculty_and_staff/bio/?id=llucic