home 東京薪割り生活 [24]意味のある偶然

[24]意味のある偶然

目を覚ますと、昨晩に家主のヨーコちゃんからメッセンジャーが入っていました。読むともなく、むくむく言葉がわき出てきたので、そのまま返して今日は久しぶりに外出しました。電車を降りるとヨーコちゃんから返事がきていて、今日はお父さまの命日だったそう。

 

あぁあれは、ヨーコちゃんのお父さまからのメッセージだったんだなぁと妙に納得しました。それは、このマキワリの家で暮らして数か月ぐらい経ってから、よく聞く言葉だったので。

 

今日は不思議な1日でした。朝は外国語で「きりん」という名前の美容室で髪を切ってもらいました。マスク姿の私たちはほとんど言葉を交わしませんが、ここのスタイリストさんは超能力者のように、私の好みを把握しています。「今日はどうされますか?」と聞かれて、少し話した後にハッと気づいて「マスクをしているからよくわかりませんよね」というと、「これからしばらくは、Withマスクですから。マスクをしていても素敵に髪が少しかかるように設計してみましょう」なんて。さすがプロはすごいなと、感心しました。そして温かいほうじ茶を淹れてもらって一杯いただきました。モダンな美容室でほうじ茶が出てくる、そんなところに日本の良さを感じます。

 

その後に愛用する単行本ノートを買いに無印良品にいく途中のことです。右足が突然ふわっと軽くなったので、見ると履いていたフラットシューズの裏が抜けて破壊されていました。足裏を引きずって歩かないと分解寸前の状態で、帰りは白いスニーカー姿になりました。よく歩ける白い靴が欲しいとずっと思っていたので、ちょうどよかったです。ヨーコちゃんのお父さまがプレゼントしてくれたのかな。

 

そして帰宅するとポストには、川上弘美の『神様』が入っていました。これは私が先週注文した古本です。私とは違って、社交好きで社会的引きこもりにすっかり退屈している様子の、父の友人オルセンさんから「New York Timesでミエコ・カワカミという作家について載っていたのだけど、それについて話ができないか」とメールがきていたのでamazonで購入した後、うっかり川上さん違いだったことに気づいたという本です。でも『神様』というタイトルが気に入ったので、発注を取り消さないでおいたのです。

 

台所で紅茶を淹れていると、小ぶりだった雨がざあっと勢いよく降り出しました。読書にぴったり。ヨーコちゃんのお父さまの机で豆乳ミルクティを飲みながら『神様』を読み始めました。短編集で3話目あたりを読み終わって、なるほど今日これが届いて今読んでいるのは意味のある偶然の一致だな、と。ちなみにヨーコちゃんのお父さまも私の父も偶然アキラさん。

 

雨の中で紅葉の新緑が揺れています。