問題は解決しようとせずに、まず正体をつかめ。ハイヤーセルフと繋がる瞑想で見通し力をつける!

新型コロナウイルス渦に気候変動、AI普及でいまの仕事が無くなってしまう?!  そんなふうにわたしたち全員が先行き不透明感を共有する「いま」。これまでの経験と知識を総動員しても理解できない事態解決のヒントを得るためには、木から森を見るような「高い視点」が必要です。部分情報にフォーカスしながら、全体を俯瞰することができる。なんとかしようと躍起になる前に、問題がわかる、見える。そんな「いまここ」の全体像をつかむ高い意識のことを「ハイヤーセルフ」と呼びます。ハイヤーセルフの力で、正しく現実を把握しながら納得して行動を決めることで、自由で幸せな最適解につながります。そこで今回は、「いまここ」で起こっていることをクリアにつかむハイヤーセルフ意識になるために瞑想が効果的な理由を解説していきます。

 

ハイヤーセルフではない意識状態とは?

ハイヤーセルフとは何かを理解するためにまず、そうではない私たちの通常意識について知っておきましょう。心理学者のフロイトは、人間の心は3つの部分で成り立っていると考えました。まず「エス」と呼ばれる無意識の本能的な衝動があって、これが不安や苦痛を除いて欲望を満たそうとします。エスは私たちの心の防衛機能でもありながら、それを翻弄させる黒幕とも言えるでしょう。このエスをジャッジする心の一面として、「超自我」という意識があります。「超自我」は、両親のしつけや社会ルールなどで身についた、「常識」「世間体」「空気」と呼ばれる道徳心で、検察のようにはたらきます。その2つの異なる意識のバランスをとって判決を下す裁判官のような存在が「自我」です。これらの3つの部分からなるのが、ハイヤーセルフではない私たちの通常意識です。

 

ハイヤーセルフとは「心のウイルス」から解放された状態のこと。

いっぽうで、ハイヤーセルフとは、より視野が広く、自由度の高い私たちの意識状態のことです。深い勇気を与えてくれ、私たちをつながりや温かさ、愛へと向かわせてくれる。通常意識を超えた正しい選択が何かを確信させてくれる高い次元の自分のことです。ハイヤーセルフにつながって問題を解決するとき、私たちは恐れや不安からではなく、幸せや喜びを増すような方向ではたらきます。心理学の世界ではトランスパーソナルセルフ(真の自己)と呼ばれたり、宗教や伝統によっては、スピリチュアルセルフ、魂(ソウル)、霊性、命、仏性、神、宇宙意識などと言われることもあります。

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「ハイヤーセルフとつながった状態」を、より具体的に言えば、『こころのウイルス』著者のドナルド・ロフランド博士がいう「心のウイルス」から解放された以下の状態です。

 

こころのウイルス [ ドナルド・ロフランド ]

具体的な心のウイルス対策法も載ってあって、わかりやすい。

・他人の期待や世間の常識の前に、自分で自分のことを評価できる。

・自分の状態をコントロールする力がある。

・関心が「いまここ」に向いている。逆境に陥っても、物事の意味づけをかえ、その状況を別の見方から捉えることができる。

・苦境や行き詰まりを有効な手がかりとし、上手く失敗できる。

・一人の時間と他人と交流する時間のバランスが取れている。

・自分と周囲の成功が調和し、双方にプラスをもたらす。

・社会のニーズを見通す直感的嗅覚とそれを生み出す創造力がある。

 

心のウイルスに囚われていると、自由の意味も履き違えてしまう。

「いったい幸せってなんなんだろう?」

そう行き詰まった私は、会社を辞めてアメリカに渡って心理学の勉強をしました。そして挙げ句の果てには学んだことが実感できず、ホームレス状態になってアメリカ先住民の集落で暮らしたり禅センターやスピリチュアルセンターで山籠りして瞑想修行し続けるという極端なこともやってきました。その経験を経たからこそ「大前提として、自分は何もわかっていない」ことが思いしれたという人生の財産にもなりましたが、我ながら「えらく遠回りしたなぁ」とも思っています。瞑想ならぬ迷走したのは、当時は気づいていなかったけど、問題が見えていない状態で解決しようとバタついていたから。納得するまで行動したことでようやく腑に落とせたのは、社会的なしがらみから自由になりたいと放浪をしたりヒッピーしたり、山に籠もって瞑想し続けるからといってイコール自由ではないということです。心のウイルスにバッチリ感染して、そこを掛け違えていたことが、そもそもの問題でした。

アメリカ・ニューメキシコ州のウパヤ禅センターから2時間ほど山を向かったところの洞窟で瞑想する筆者。

 

つまり、心のウイルスから自由になって、納得したうえでルール(常識、世間体、空気)に従っていれば、それも自由だということ。当時の私には、「もうこれしかない」と視野が狭くなってそこが見えていませんでした。単に制度やルール、規範から解放されていることが自由ではなく、どこで何をやっていてもハイヤーセルフの意識状態にあって、自分の意思で納得して言動を決めていれば自由なのです。

 

通常意識を超えて、ハイヤーセルフとつながるために必要なこと。



当時の私が陥ってしまったような、幸せにはつながらない、視野を狭くするような思い込みを超えるためにはまず、「それ、本当?」「私、本当にそう思いたいの?」と”問題”を問い直して、「無意識の当たり前」を揺るがす必要があります。つまりそれは、何を望んで、何を恐れているのか。そこに目を背けず、ホンネのホンネ、より深い自分の心に気づきながら自己決定し、解決していくこと。

 

そのプロセスでは、「ちょっと、それ見たくないなぁ」という気持ちや考えの登場を認めることにもなります。

 

動物たちは、私たちにとって「イヤ」だとして避けるような尿や糞の匂いを嗅いで情報とし、サバイバルの道具とします。不確実な世界を生きるために、今私たちに必要なのは、そんな野生かもしれません。つまり、どんな感情も感覚も、ホンネとつながって軽やかに生きるために利用するというタフさや客観性。それがハイヤーセルフ(高次の自己)の視点です。

 

1日一回の瞑想で、ハイヤーセルフと効果的に繋がれる2つの理由。

そこで助っ人になるのが瞑想です。その理由は大きく以下の2つです。

1.現実と自分自身を出来事として「ありのまま」観察する練習になる(○も×もつけない)

2.「いまここ」に意識(コントロール)を取り戻すトレーニングになる(過去を悔やんだり、未来に囚われたりと現実に起こっていない想像にトラップされない)。

 

1日一回時間の流れを止めて、自分(呼吸)を見つめることで、誰ともシェアできない、自分だけの体の感覚を観察することができます。「いまここ」のありのままの体験を良い悪いとジャッジせず情報として見つめる。すると次第に「頭の考え」と「現実の体験(感覚)」のあいだに、小さな小さなギャップがあることに気づいていくでしょう。そこがホンネの居場所。瞑想を繰り返すことで、意識できなかった次元のホンネや考えを点検する筋力がついていきます。「ここで怒るのか」「どっちを選ぶのか」。感情にトラップされず、自分の反応を選ぶ自由を得ること。それがハイヤーセルフの意識状態です。

 

5分でも瞑想を行うと、α波やシータ波というまどろみに近い脳波になっていき、思考分析活動が減っていきます。その結果リラックスするだけでなく、理性を超えた思わぬ「ひらめき」ともつながりやすくなります。

 

運転や恋愛と同じく、瞑想も本では学ぶことができません。実践あるのみ。瞑想に道具は必要なく、いまここからスタートすることができます。イライラ、不安にトラップされず、全体を見渡すハイヤーセルフの力。そんなあなた本来のパワーと繋がるために効果的な瞑想を始めてみませんか。

 

参考

諸富祥彦著『ほんものの傾聴を学ぶ』(誠心書房、2010年)